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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十五話 集う者たち
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初夏。

青々と茂った木の葉が太陽の恵みを存分に享受する季節が始まり、街があらゆる意味で熱くなり始めたころ、クラナとライノは、今まさしく熱く燃え上がっている少女たちの元へと歩いていた。

「そういえば二人とも、調子はどう?」
「万全も万全!この時期まで不安を残し照るわけにはいかないっすから」
「なるほど、さすが上位選手(トップファイター)、だね」
「いやぁ、それほどでも〜」
[調子に乗らないでくださいマスター、そのニヤニヤ笑いは非常に気味が悪いです変態ですか?]
「照れただけ!!アイアム照れただけ!!」
いつも通りのウォーロックとライノのやり取りに、一緒に歩いていたディエチが苦笑する。そのまま彼女はクラナを見ると、彼の顔と彼のデバイスを見比べて、少しだけ微笑んで聞いた。

「クラナは、どう?」
「……そこそこ、です」
[そこそこなどとは控えめですねぇ、練習開始以来、調子は右肩上がりじゃないですか!]
「……まぁ」
「そっか」
期待するように目を輝かせるディエチから、クラナはやりずらそうに眼をそらす。ディエチがその目線を追う。クラナが視線を逃がす。ディエチ追う、クラナ逃げる、追う、逃げる。

「なんだこれ」
珍しくライノが突っ込んだ。

「(なんか可愛くなった……?)」
クラナと(で)遊びつつ、ディエチはなんとなくそんなことを考えていた。ほんの少しだが、以前のような険がどこか抜けたような感じがする。もちろん、心を開いてくれるというのには程遠いが……

「(まぁ、それは仕方ないか)」
何しろ自分は[ナンバーズ]だ。彼の母親が死ぬ原因を作ったメンバーの一人が、今更心を開いてくれなどとどの口で言えるのか。ノーヴェやウェンディなどは幾分かフランクに接しているようだが、彼女はそこまで深く踏み込めてはいないし、絶対に踏み込ませてはもらえないだろう。
まぁ、それでもオットーやディードに比べれば、幾分ましだとは思うが……

「(あの二人は、まだ一度も口もきいて貰えてないんだよね……)」
毎回挨拶するたびに無視されて悲しげな表情をしている双子のことを思い出して、若干気が重くなる。とはいえ、自分たちのクラナの間にあるそれらはいずれも自らが招いたこと。クラナだけが沙汰を決めることであり、あるいは生涯許されなくとも受け入れねばならないことだと、覚悟も理解もしている。むしろ……

「(まぁ、私たちは良いとして……)」
せめてこのうっすらとした可愛げを、母親や妹にも見せてあげていればいいんだけど。そんなことを思って、少し困ったように苦笑するディードだった。

────

ヴィヴィオ達ロリーズ……もとい、チビーズの特訓と、クラナの鍛えなおし、ライノの調整が始まって一月が経った。数え切れないほどの時間を魔力づくり、体作
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