二夜目
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主人の名はルピナス。
俺は元あった名前から新たにアキレアと
呼ばれるようになった。
「そうだな、まずは荷物持ちでもやってもらおうか」
主人は俺の鎖を荒々しく引いた。
「これでいいかな、じゃあよろしく」
「は、はい」
大きな荷物を持ち上げる。
「へぇ、君力があるんだね」
「いえ…」
軽い会話を交わしながら市場を歩く。
ふと、何かがぶつかった。
「あっ…すみません…」
「いいえ、私も前を見ていなかったから」
「お怪我は…?」
「大丈夫、ありがとう」
タッと軽やかな足取りで人波に消えていった蒼い髪。
まるで、空を映した湖畔のような
綺麗な蒼だった。
「何してるんだい?」
「っ…申し訳ありません」
主人の自宅に着いた。
広い庭に大きな門。
見上げるほどのお屋敷。
「おかえりなさいませ」
「坊っちゃま、本日の夕食は…」
「おや?その少年は…」
使用人達だろうか、
主人に近寄っていく。
「アキレア、新しい奴隷さ」
「…」
「さようでございますか」
アキレア…
気に入らないな…
「可愛い子を連れてきたじゃないかルピナス」
「父さん!」
しわがれた声が耳に入る。
聞いていてなぜか悪寒が走る。
「アキレアだったかな、顔を見せてはくれまいか」
「…」
ぐいっと顎を掴まれる。
痛い、爪が食い込んでる。
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