第3章 リーザス陥落
第60話 森に住む少女
[15/18]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だったのが一番危なかったが。
「ソンナ ミンナガ コンナアッサリ マケル ナンテ……」
あっという間に終わったのを見て、少女は呆然としている。戦えるメンバーをより揃えてきたのだろう。そんなメンバーを一蹴されてしまったのだから。
そんな時、奥からラプが現れた。
そのラプは、何処となく風格のある白髭、そして杖を持っていた。ラプの村の長老……と言う言葉がしっくりと来るだろう。その長老は、周囲を見渡し、倒れている同胞を見て、表情を暗めた。
「……人間はなぜ 我々をそっとしておいてくれないんだ。どうして我々の生活を破壊するんだ」
「許セナイ。……コロセ、 コロセ!」
悲しそうな表情をする。
少女は、まだ諦めていないが、その数と強さを目の当たりにした以上、もう無理だろう。小さなラプ達をそっと見渡した長老は。
「もう、ここの我々村も人間に知られてしまった。幸せな生活もこれまでだ……」
最早 全滅は免れない。そう言って覚悟を決めた長老に向かって慌ててシィルは言う。
「ま、待ってください。勘違いをしていらっしゃったんですっ。私達は戦いに来たんじゃありません」
「何を今更。私達を誑かすつもりか。既に多くの同胞がお前たちにやられたのだぞ。……信じることなど到底出来ない」
「勝手なことを言うな。先に仕掛けてきたのはお前たちだろうが」
「なんじゃと……?」
ランスの言葉を聴いて驚きの表情を見せる長老。
「オレ達の元々目的はこの森に住んでいるユニコーンを探す事だ。それで、森の奥で彼女にあってな? それに、やられた、とは物騒だ。それなりに手加減をしているから、気絶しているだけだと思うぞ。……運が悪ければ、判らないが」
「っえ……!!」
ラプの長老、そして少女は慌てて倒れているラプ達に近寄って、状態を確認した。確かに、死んでいる者は誰もいなかったのだ。
――全員が手加減攻撃を習得、或いは上達した。
「……まさか、ここに来た理由も何も聴かず、このスーが貴方達を?」
「そうだ。お前たちが勝手に勘違いして、オレ達に挑んできたのだ! そして挑まれた以上、手は抜けないのが冒険者の性だ。が、情けは一応かけてやったのだ。スー、と言うのか。そのコの可愛さに免じてだぞ。がははは!」
「ランスに冒険者の性なんて無いでしょ。自分の欲望だけに生きてる癖に。それに、殺しかけたくせに」
思わず突っ込んでしまう志津香だった。それを聞いた他の皆も思わず笑ってしまう。それ程的確な突っ込みだったから。
「スーっ! これはどういう事だ! この人が言うことは本当なのか?」
対照的に、慌てているのはラプ達。どうやら、この少女の名前はスーと言うらしい。突然聴かれて、慌てて答える。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ