第3章 リーザス陥落
第60話 森に住む少女
[2/18]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
小声で話したのだ。誰にも聞かれない様に。
「……オレが戦線から外れるとなったら、絶対にミルに勘付かれる。オレ達はいつも一緒だったからな。少しでも、そんな所、ミルに見せる訳にはいかないんだ」
そして、ミリはユーリにそう言っていた。
ユーリが、最前線の戦線から自分を外さない様に念を押すミリ。皆に、何より最愛の妹に心配をかけたくない。……最後の最後まで、自分らしくありたい。その先で、死ぬとしても、最後の瞬間まで、自分らしく、と。
それを訊いたユーリは、軽く笑う。
「……死なない。ミリは絶対に死なない」
ユーリは、人差し指の第二関節部分を折り曲げ、その先端をミリの額にコツンと当てた。『馬鹿な事を考えるな』 そう言っているかの様に。
……そして、笑顔のまま、続ける。
「オレが 絶対に死なせない。妹よりも先に逝ってしまうなんて、さはしせないさ。……そんなのは有り得ない。たった1人の妹を不幸にするなんてな?」
「………」
ミリは、その笑顔を殆ど目の前で見てしまっていた。
『……可愛い顔をしている、とずっと想っていたが、格好イイ顔も十分出来るじゃないか』と、ミリは改めて本気で思った。
「(もし、オレが処女だった時に、この男に出会ってたら。そして、この男を好きになって、身体を重ねていたら……多分、一途になれたかもしれないな。……いや、な訳無いかな? オレだし)」
ミリは、たられば話を頭の中で思い浮かべるがそれを一笑。自分は可愛い子、いい男、どっちもイケるのだから。
そして、改めてユーリの方に視線を向けると礼をいう。
「……ありがとうよ、ユーリ」
「なに。オレ達は仲間で、友だろ? ……なら、当然の事だ」
「へっ……」
そして、お返し、と言わんばかりに、ユーリと同じ様に人差し指を折り曲げ、先端で額をこつく。
「……ただな、ユーリ。そんな顔はオレじゃなくて、ここにいる かなみや志津香に向けてやんな。それがアイツ等にとっての最高の労いになるってもんだ」
「……はぁ? なんだそれ。何で其れくらいで労いになるんだ?」
「はぁ、やっぱか」
やっぱり、判ってない様だ……と思わず思ってしまうのはミリだ。
自覚がまるで無いし、そしてその笑顔や表情、言動にはまるで計算が無いから更に強力だ。……ウチの女連中にとっては、チューリップ3号よりももっと強力。
「ほれ。行くぜ? 話してたら結構離されたみたいだ」
「ああ、そうだな」
ミリは指をさした。
その先では、かなみと志津香が待ってくれている。ランスは、ずんずんと先へと行ってるから、必然的にシィルも同じだった。そして、ミリとユーリは、少し速度をあげ、離された距離を狭めていった。……当然、追いついた所で、ユーリや
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ