暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
訳知り顔で夕焼けを
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り、あちこちひび割れたりねじ曲がっていたりしていて気付きにくいが、数分前に轟いていた轟音とメインストリートの一つに盛大に壊れた場所を見れば一目瞭然だ。自分がこのエリアに入る少し前は、ここが本当の意味での主戦場だったのだろう。

その荒々しい痕跡を見れば、ここで繰り広げられていたのがどれほど苛烈なものかは想像に難くない。

バケモノどもめ、という思考とともに、予選で《絶剣》に刈り飛ばされた両の手首にいまだに残る痛覚が脳裏に呼び起こされるが、それを無視して男は索敵スキルとともに己を追ってきただろう標的を捜す。

フェイバルに取り引きを持ち掛けられた時はさすがに緊張した。

尾を噛む蛇(ウロボロス)】は《要注意(イエロー)ギルド》であり、いわば中立な存在だった。もっとも、彼らを利用するのはもっぱら『裏』の人間であり、まっとうな者達はせいぜい危険な収集クエストのアイテム採りを依頼するくらいだ。

毒にもなれば薬にもなる。

六王第一席の《戦神》の利用禁止命令が公布されていなければ、もっと多くのプレイヤーが彼らを利用したことだろう。金さえ払えば何でもやってくれるのだから。

だが、我ら【笑う棺桶(ラフィン・コフィン)】を初めとした殺人(レッド)犯罪者(オレンジ)ギルドの彼らとの関係は、その点極めて危ういものだった。一触即発まではいかないが、こちらから進んでヤツらに何かをしようとは思わない。

例えば少しでも後ろ暗いところがあるギルドが彼らを利用したとしよう。

金さえあればヤツらはちゃんと動いてくれる。だが、《ウロボロス》は別に専属という訳でもない。他の、つまり『表』側の人間からこちらの掃討を依頼されても彼らは《ちゃんと》動くだろう。

そうなるとこちらの内情を知る分、下手な一般人よりも厄介な刺客となりえるのだ。

それが、『裏』のプレイヤーが彼らを忌避する大きな理由でもあり、また表裏どちらからも彼らが煙たがられる一因でもある。

その首領ともなれば、修羅場をくぐった数は並みの猛者を遥かに凌駕している。殺人者(レッド)ギルドの大家の幹部だったとはいえ、通常ならば渡り合えるはずがないのだ。

だが、今回についてだけは向こうから歩み寄ってきた。

取り引きをしよう。

こちらはそっちのことについては関わらないから、そっちもこっちのことには触れないでくれるといいな、と。

それは取り引きというより、お願いのようなものだったが、その奥の昏い真意は雄弁に、冷厳に告げていた。

応じなければブッ殺す、と。

もとより選択肢など存在しないのである。

だからザザは多少警戒しつつも二つ返事でOKしたのだが、しかし――――

―――ここまで、律儀、に、守る、とは…な。

砂漠の彼方で、そろそろ宵
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