暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
訳知り顔で夕焼けを
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だが、柳眉をハの字にしたのはミナだ。

当初の計画では、《乱射魔(トリガーハッピー)》とまで言われているこの馬鹿のために、開始から充分な時間をここで稼ぎ、残弾数を節約してから満を持して思う存分撃ちまくる、という流れになっていたのだ。

予定では、ここを出るのは本当に出場者がすり減った終盤戦。経過時間からして、まだ一時間も経っていない。明らかに今出るのは早計だった。

だが、《シンイ》とやらで行動不能になったレンの姿を見てしまっては、彼らに出ていけと言うのはさすがに心苦しい。せめてもの情け、という奴だ。

ふん、と鼻を鳴らし、リラはきびすを返す――――

寸前。



スッ、と。

音もなく少年が立ち上がった。



何の脈絡もなく動いたレンに、少しだけびっくりしたが、しかしその驚きは通り越せば軽い怒りに変わった。

「んぁ?何よ、ぜんぜん元気じゃ――――」

「伏せてッッ!!」

気が抜けたような愚痴は、すぐさまそれを倍するユウキの悲鳴で塗り潰された。

直後、まるでその咆哮が引き金となったかのように、無言で佇む少年の右腕が軟体動物を思わせる奇怪な蠢きをもって振るわれ。

直後。

轟音とともに()()が爆ぜた。










透明化した状態で標的(ターゲット)を捜していた死銃――――《赤眼》のザザは足元から響くズズン……、という重低音と細かな振動に、周囲を見回していた鬼火を思わせる双眼を、遠い北方に広がる砂漠に向けた。

第三回バレット・オブ・バレッツ本大会フィールド中央に据えられた廃墟都市地帯は、本大会の主戦場であり、同時にこのマップ内において一番全体を見晴らすことのできる場所でもある。

現実置換で五キロは優に離れている砂漠地帯は眩い夕陽をバックに、遠方からでも大きな砂埃が立っているのは目に見えて分かった。

だが詳細は分からない。職業(クラス)的には狙撃手(スナイパー)であるザザであっても、さすがにこの距離を埋めるほどのスコープは光学系のものまで検索してみても存在しない。

だが。

「始まった、か」

くく、とノドの奥で昏い嗤いを漏らす男は、その地で現在起こっている惨劇の有様を薄々ながらも類推することができた。

その目線の先では、不規則な間を取って微かな閃光と、ビル風にのって流れてくる微弱な音――――崩壊音らしきものが響いている。

この距離まで届くのだから、向こうは相当なことになっているに違いない。地形が変わっていたとしても、たぶん驚かないだろう。むしろ消滅していないことに驚くかもしれない。

ひとしきりその光景をねぶるように見、ザザはしかし、と今度は眼下の廃都に首を巡らせた。

もともと廃墟であ
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