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遺跡出現までの10日間【3日目】 その9
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【3日目】 その9

「ちょっ!? どうしたんですかその手!?」

 ナナとオウムと一緒にセリムの宿に戻るとアカリちゃんが僕の血だらけの右手を見て、飛びつくような勢いでこちらに向かってきた。

「ちょ、ちょっとやんちゃやっちゃって……」

「もう、ケントさんは無茶ばっかり……」

 アカリちゃんは僕を上目使いで見てくる。不覚にもドキリとしてしまった。

「アハハ……すいません……」

 無茶ばっかりか……。他人から見たらそう見えるのかな……。

「て、手当しますからそこの席で待っててください」

 そう言うとアカリちゃんは駆け足で食堂の厨房へと入っていく。

「なんか面白くないアル」

 半眼で僕を睨みながらナナが言った。

「グギョギョ……」

 オウムも僕のことを半眼で見てくる。

「な、なにかまずいことでもした……?」

「別に!」

 ナナは膨れっ面をするとプイッとそっぽを向く。な、何か気に障ることでもしたかな……、まあ元気そうになってよかったけど……。

「先程はうちの娘がお世話になりました」

 声のした方を見ると30代後半くらいに見える茶色の髪を後ろで丸く丸めたエルフのおばさんが立っていた。緑の服を着てその上に真っ白なエプロンをつけているその姿を見ると何となく自分の母親を連想する。

「い、いえいえ! ア、アカリちゃんのお母さんですか?」

 僕の問いに緑色の服を着たエルフのおばさんはニッコリと笑って答える。

「はい、アカリの母親のセリムです。普段は厨房で料理を担当しています」

「そ、そうでしたか……」

 成程、通りで姿が見えなかったわけだ。

「右手、失礼しますね」

「あ、はい……」

 そう言うとセリムさんは僕の血にまみれた右手を握る。

「自分で引っかかれましたか?」

 僕の傷を見ながらセリムさんが質問してきた。

「はい、ちょっと色々あって……」

 僕はついナナを見てしまい目があって気まずくなってしまう。そんな僕たちを見てセリムさんは優しい笑みを浮かべて言う。

「フフ、若いっていいですね。傷はあまり深くないので軽く治療魔法かけておきます、でも傷口が開くのであまり激しい運動はしないでくださいね」

「は、はい……」

 セリムさんの両手がぽわっと黄色に光る。その光を右手に当てられると何とも言えない不思議な感覚がした。傷の痛みが引いて行き傷がふさがっていく。

「す、すごいアル……」

 ナナがその光景を目を丸くして凝視していた。

「ふふ、治療魔法を見るのは初めて?」

 セリムさんがナナに微笑む。それにナナは無言でコクンコクンと何度もうなずいた。

「さて、終わりました。く
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