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人面痩
5部分:第五章
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あった。
「本当!?」
「ああ、俺の実家の側だけれどね」
 彼は言った。
「暫くさ、会社を休むことになるけれどいい?こっちも学校を休むけど」
「ええ、いいわ」
 その言葉にこくりと頷いた。
「これが。どうにななるのなら」
「よし、それじゃあ」
 話は決まった。翌日朝起きると敦はすぐに陽子を車に乗せた。そしてそのまま彼の実家に向かうのであった。
「それってさ、放っておくと危ないらしいんだ」
「そうなの!?」
 二人は車中で話をしていた。陽子は敦のその言葉に驚きの声をあげた。
「まあこれって漫画とか小説とかそうした本での知識だけれどね」
「ええ」
「よからぬもののせいだからだってさ。だから」
「このままだと憑かれて」
「そうはなりたくないよね、だから」
「すぐにでも」
「そうさ、そこに付いたら詳しい話をしよう」
「うん」
 こくりと頷いた。車は高速を出てそのまま道をひた走る。一日程進むとようやく車は止まったのであった。かなり長い旅であった。だが敦はまだ余力があった。
「ここだよ」
 彼は陽子が今まで来たことのない街に着いたところで彼女に声をかけてきた。見れば陽子はうつらうつらと眠っていた。
「えっ!?」
 その言葉に目を覚ます。そしてその身も知らぬ街を見た。
「ここ!?」
「そうさ、ここだよ」
 敦は言った。車の速度はかあんり穏やかになっており、彼は街中をゆっくりと進んでいた。その中で陽子に声をかけてきたのである。
「ここが俺の実家のある街なんだ」
「そうだったの」
「どうだい?いい街だろう」
「ええ、そうね」
 車で一日だからかなり離れている。だがいい街なのは事実だった。
 今二人が住んでいる街は海辺の街である。だがこの街は山と緑に囲まれている。これはこれで非常に風情のある街であった。陽子はそう感じていた。
「どうする?すぐにそこに行く?」
「そうね」
 敦の問いに応えた。
「ここに敦君の実家があるのよね」
「ああ」
「そこに寄ってからでもいいよ」
「じゃあそこに車を止めるか」
「そうするのね」
「ああ、それでその足でそこに行く。それでいいだろ」
「任せるわ、それは」
「わかったよ、それじゃあ」
 敦は陽子と簡単に実家に挨拶をして車を止めた。もっと親とは話をしたかったが今はそんなことを言っていられる状況でもなかった。車を置いてすぐにそこに向かうのであった。
「まあ、じっくりとした話は今度だな」
「ええ」
「夏休みにでもさ」
「今は仕方ないわよね」
「そうだな。それでそこだけれど」
「どんなとこなの?」
「目の前にあるぜ」
「目の前って」
 敦は目の前を指差した。そこには古いお寺があった。何の変哲もないただのお寺であった。
「ここ?」
「ああ、ここさ
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