第3章 リーザス陥落
第58話 守りたい者、譲れない想い
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パットンはハンティをよく知っている。それが決して大口を叩いていると言う訳ではないということを。
ハンティがそれをする、と言えば 文字通りあっという間に敵の首を上げて帰還するだろう。……だが、パットンは首を横に振った。
「い、いや……その必要は、ない」
「ん?」
「今回は、オレが……っ、オレ1人でやりたい、のだ。手は出すな……」
台詞を止めるつもりはなかったが、喉が引っかかり絞り出すような声になっていた。
「………ふーん……」
ハンティは僅かにその琥珀色の瞳を大きくした。確かに 言った様に さっさと終わらせて、本国に戻る事が一番先決だと思っているハンティ。敵側の将、恐らくはリーザス軍の残党、トップであるのなら、将軍クラスの者だろう事は判る。
だが、100%とは言えない。 敵を、知る必要もある程度あるのだ。
色々と考えていた時に、パットンのその言葉を訊いた。
「ま、いいさ。じゃあ、やってみな」
だからこそ、パットンに完全に任せる事にしたのだ。自身は手だしはしないで。
「でも、カタが付くまでは、こっちに居させて貰うよ。ここまできて、帰れ。とは言わないだろ?」
「あ、ああ……当然だ」
「あんた、ちょっとは頑丈だけど、戦いの、剣の腕はからっきしだもんねぇ? パットン坊や」
「う、うるさいぞ!!」
怒鳴り声に、きしし、と少しだけ笑うハンティ。からかいがいのある男など、ハンティの中でそういるものではない。状況が状況であるから、そこまで楽しめるものじゃないが、一先ず、パットンが無事である事を改めて胸に刻み、安堵をしていた。
そして、顔を赤くさせているパットンを尻目に、ハンティは謁見の間から出て行く。
安堵をした、とは言っても それはわずかだけ。……まだまだ、不安、心配事は多いのだ。
「(……でも、パットン。あんたが助力を得た、あの魔人どもは……)」
その不安要素は、勿論魔人の存在だ。
自身の記憶が間違いないのなら、あの場所にいた魔人の正体は、極めて危険とされている魔人の1人だから。
だが、一先ずそれは置いておく。今のヘルマンとリーザスの戦況についてを 思考した。
「……ま、レッドの町の指揮官は、フレッチャーだって言うし、あのズボラで、怠惰を貪ってたヤツが今負けたって別段不思議には思わないけどねぇ」
ため息を吐くハンティ。今から30年程前では、大陸最強の拳法家として、名を馳せていたのだが、もう見る影もない事はよく知っているのだから。
若干ハンティは呆れた顔をしていた。素質は紛れもなく世界最強だと言うのに、と少なからず もったいない、とも。
未だにあの巨漢は伝説となっているが、それはひとり歩きするものだ。現在、人類最
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