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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
Episode of Tabasa 臆病者-オリヴァン-part2/必殺の魔法
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それ以上、オリヴァンは何も言わなかった。本当に夢だったのだろうか。けど、今自分の中に渦巻いている感情やその根源たる、アネットの言う『夢』の記憶が焼きついている。ペガ星人や、いじめにただ屈するばかりで言い訳ばかりの、ふがいなくて情けない、無様な自分に対する怒り。アネットに対する感謝と、それ以上の贖罪の気持ちがこみ上げている。
「夢の中…けど僕、負けたよ。あいつらにも、自分にも…アネットにもすまないことしていたよ」
「私のことなら大丈夫ですよ。夢の中での話ですから」
「…ありがとう」
「坊ちゃま…?」
行き成り礼を言われたアネットは驚きを見せた。
「僕…学院に通うよ」
「坊ちゃま…」
「そして、今度は自分の力で立派なメイジに…ド・ロナルの家名にふさわしい男になる。だから…」
ベッドから腰を上げて、オリヴァンは正面からアネットと向かい合った。
「恥を忍んで、頼むよ。これからも僕を助けて欲しい」
それは、これまで腐るほど見せてきた、おどおどとしてばかりのいじめられっこだった弱虫オリヴァンの姿などではなかった。
本心から、自分のすべきことを見定め、迷うことなく突き進むことを選んだ、一人の男の顔だった。
その立派な顔立ちは、アネットの目に映る彼をさらに一人の男として引き立てた。
「…はい、私はどこまでもお坊ちゃまと共に」

その後、オリヴァンは学院に通い始めた。今までどおりいじめてきた者たちは、今回の彼の起こした問題行動で逆に恐れをなしていたが、オリヴァンは必死に勉強と魔法の腕を磨いていき、だんだんと周囲から一人のメイジとして、誇るべきクラスメートとして認められていった…というのは、別の話である。
ちなみにアネットとの仲は、互いに身分違いということもあって、どうなっているかまではわかっていない。が、少なくとも二人の絆が、あの事件をきっかけに深まっていたことは確かである。




「やれやれ…世話のかかるお坊ちゃんだったわね。まあ今回のことで、少しは男が磨かれたかしら?」
日が昇りそうになっている早朝の時間、すでにイザベラへの報告は済ませ、トリステインに向けて飛行中のシルフィードの背に乗るキュルケが、自分の前に座っているタバサに話しかけていた。
「けど、驚いたわね。あの時のアネットが、まさかあの性悪王女がくれた、マジックアイテムの人形だったなんてね。あのペガ…せいじん?って奴に連れ攫われたあの時点で、アネットはその人形が化けた偽物と入れ替わっていたのね」
「…結構便利」
タバサがそういって取り出したのは、胸元に穴の開いた古い人形だった。そこは、ちょうどアネットがペガ星人によって貫かれた箇所と同じ場所だった。
その人形は、古代の魔法人形『スキルニル』。ある人物の血をつけると、その血の持ち主だった人物の姿をそのままコピ
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