Episode of Tabasa 臆病者-オリヴァン-part2/必殺の魔法
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「うっし…さっきまで散々ちまちまとやらかしてくれたもんだな…!行っくぜえええええええええええ!!!」
広げた両手に炎を宿し、グレンは気合を入れなおして一気に、ペガ星人の円盤に向けて突撃した。今となっては空の城も同然。落城させるなど容易だ。すぐに円盤に掴みかかった彼はさらに高く飛び立つ。円盤を抱え、彼は地上に向けて急降下した。
「さあて、皆さんお待ちかねの…〈グレンドライバー〉あああああああああああああああ!!」
赤き流星となったグレンは抱えていた円盤を地上に激突させた。それはまるで、隕石が宇宙から降り注いできたかのごとくだった。ペガ星人の円盤は、その一撃を持って破壊、その場所からは煙が天に向かって昇っていった。
「う…」
自分の顔に降りかかっている朝日を浴びて、オリヴァンは目を覚ました。自分から目を覚ましたのはいつ振りだっただろうか。気がついたら、アネットが起こすのが当たり前だった。オリヴァンは、久しぶりに自力で起き上がった。起き上がると、体中から激痛が走る。
と、オリヴァンはアネットのことを思い出して、その胸の内に強い後悔を抱く。
あぁ、自分はなんて愚かだったのだろう。魔法の才能がないから?太っているから?…違う。
すべては、そんなちっぽけなことを気にして、何の努力もせず、いじめに立ち向かう勇気も出そうともしないで自分の殻に閉じこもり続けた…
己の心の弱さが、アネットを殺したのだ。
「もう、自分から起き上がるのはよろしいですが、お怪我をなさっている以上ご無理をなさらないで」
聞き慣れた声が耳に入る。オリヴァンはその声の方を振り向くと、信じられない人物が、水で濡れたタオルを絞りながら、そこに立っているではないか。
「あ、アネット…!?」
気がつけば、眠っていたのは自分の部屋だった。
僕は、さっきまで何をしていたんだろう。…いや、確かに覚えている。自分はいじめの仕打ちに対する報復をしたいがために悪党の甘言に惑わされ、その手のひらで踊らされた果てにアネットを失っていたはずだ。けど、現に彼女はここに生きている。
夢…だったのだろうか?けど、自分のこの体を巻く包帯の下に隠れた傷は本物だ。
「なあアネット…僕はどうして…」
「いつものように、同級生の方たちからの仕打ちで気絶なさってしまったところを、ここに来た騎士様が運んで来てくださったのですよ」
「けど、あの時確か…」
さも、あの時のことがまるで無かったかのように語るアネットに、オリヴァンは違和感を覚え、目の前で彼女がペガ星人によって命を経たれた時のことを口にしようとしたが、それを遮るかのごとく彼女が言った。
「悪い夢を見ていたのですよ。坊ちゃまは。ずいぶんうなされておりましたから」
「………」
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