思い出-メモリーズ-part2/妖精の歌
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女を介抱してくれていたようだ。テファは、マチルダにあのあと何が起こったのか聞いた。父モードは獄死し、母シャジャルも王軍に殺害され、マチルダの実家であるサウスゴータ家は取り潰しとなった、と。
しかし、ヤマワラワがどうなったのか、そして自分を助けてくれたあの白い光の手が誰だったのか、マチルダに尋ねてもわからないままだった。王軍が自分一人のために何人物兵を集め殺害しようとしたあの状況からして、生きているとは考えにくかった。
ただはっきり覚えているのは、辛い目にあい、全てを失い、自分が泣き続けていたことだった。
「ヤマワラワ…生きていたのね」
見間違いなんかじゃない。毛むくじゃらの体毛に、体中から生えた角のような突起物に、猿人にも似通ったその顔、幼い頃に一緒に遊んでいた…あのヤマワラワだった。
いったい何年ぶりだろう。テファは、ずっと会えないままだった最初の友達が、こうして生きていたことを知って、テファは歓喜の涙を流していた。
幼い頃からの自分を知っている友達が、またこうして自分と会うことができた。それだけ嬉しくて、涙が止まらなかった。
泣いているテファを気遣うように、ヤマワラワはあの時と同じように木の実を差し出した。
「ありがとう…」
手渡された木の実は、涙の味が混じっていたのか、それともヤマワラワがまだ熟しきれていない実を間違って渡したせいだろうか。ちょっとだけしょっぱかった。でも、しょっぱさを除けば、この味もまたあの時と同じ、懐かしい味だった。
他にも数個ほどもらった。これを村の子供たちにもおすそ分けしたらきっと喜ぶことだろう。シュウも、美味しいと言ってくれるだろうか。
…シュウ?
そうだ!感動の再会のあまりテファは村から外出した理由を思い出した。どこかで怪物と戦っているシュウを探しに行っていたところじゃないか。だが、危険な山道をよりによって夜間に出向き、急な斜面に足を滑らせてしまって今に至っていた。
シュウも村とは異なる場所でいたのは間違いない。もしかしたらヤマワラワが見ていてくれていたなんてことがあるかもしれない。目的を思い出して、彼女はすぐ目に入ったヤマワラワに尋ねた。
「ヤマワラワ。あのね…黒い髪をした男の子の、私のお友達がいるんだけど見ていないかしら?」
「…?」
黒い髪の男の子、かつテファの友達と聞いても、ヤマワラワはいまいちピンと来ていなかったようで首をかしげていた。この様子だと、シュウを見てはいないようだ。テファはがっかりした。同時に不安を募らせた。シュウが、以前火事で焼け落ちた家から住人を救出した(実際はラ・ロシェールの戦いでラフレイアの誘爆から街の人を、身を呈して守った)際にひどいやけどを負ったように、怪物との戦いで大怪我を負ってしまうのではないかと。
一刻も早く探してあげないと。彼は冷静かつ堅
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