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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
思い出-メモリーズ-part2/妖精の歌
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いるからだ。
「…ティファニア。さっきの歌、もう一度聞かせてくれるか?」
シュウは表情を変えないまま、だがさっきとは何処か違う雰囲気をまとった顔でアンコールを申し出た。
「え?」
「耳心地がいいんだ。もう一度聞きたい」
「う、うん…」
頼まれたら断れないのか、恥ずかしく感じながらもテファは再び歌いだしてくれた。
不思議なことに、初めて聴く歌のはずなのに、どこか懐かしい。地球にいた頃のことを思い出す。それも、穏やかな日常を生きていた頃の光景だ。
皆は、元気だろうか?ナイトレイダーの先輩たち、ともに遊園地でバイトをしている連中はどうしているだろう。
テファの歌はいつしか終わり、彼女はハープ伴奏のみで曲を続けていた。この世界の人間から神と崇められている始祖ブリミルを讃えたものだろうか。
神といえば…昔よく神話の話を聞いたことがあったな。あの人から。

――――神は、サラの祈りを聞き、天使ラファエルを地上に派遣した。

トビト記の一節。
それが、自分がこの世界に来たときの状況と似ている気がした。
召喚の魔法が祈り。サラがティファニアで、俺が天使ラファエル………何を考えているんだ俺は。自分でも呆れる。
尾白が聞いていたら「厨二病乙」とか言うだろうな。
ましてや、俺が天使だなんて笑い話にもならない。もし俺がラファエルだとしても、テファの祈りを聞き届けて俺をこの世界に送り込んだ神様の神経を疑ってしまうものだ。
いや、そもそも神なんて…。

ドオオオオオオン!!!


「「!?」」
遠くから、大砲でも打ち込んだような轟音が響いてきた。
「い、今の音は…?」
あまりの重く遠くまで響く音に、怯えた顔に一変したテファが不安げに声を漏らす。すると、二人のもとに、盗賊家業からマチルダが戻ってきた。
「マチルダ姉さん!」
「悪いね…今回は収入が悪かったよ」
そう言って取り出した、今回の報酬の入った袋は、いつも以上に小さかった。
「それより、今の音は?」
シュウがマチルダに尋ねると、遠い目で轟音が響いてきた方向を見渡した。
「…どうやら、レコンキスタの連中がついに始めるみたいだね。トリステイン侵略を」
「戦争…」
「……」

戦争というただ一つのワードが、朝の冷たい空気以上に、村の空気を沈めた。

だが戦争の裏に、彼らを狙う強大な闇が…その勢力を拡大させつつあったことを、彼らはまだ知らない。

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