序章
妖精の尻尾 《前》
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ーシィは割り切った。
「ほ…本当にあたし、妖精の尻尾に入れるの!!?」
「もちろん。その代わり魅了の事は黙っといてね」
「はいはーいっ」
手を上げ二つ返事をするルーシィに頷いて、「そうだ」と今度はニアを見る。
「悪いけど、今回のパーティーは女の子限定なんだ。君は招待出来ないけど、許してね」
「むしろ招待されたらお前の顔面ぶん殴ってやる」
吐き捨てるように言い切るニアに肩を竦めて、火竜は今度は彼の方から背を向けひらりと手を振った。
「それじゃ、パーティーで会おう」
「了解でありますっ」
そのまま去って行く後ろ姿に敬礼。
ぽー……とうっとりするルーシィの目には、魅了にかかった時のようなハートマークが浮かんでいた。
「は!!!疑似魅了してたわ!!!ねえニア、あたしの顔平気!?」
「緩みまくってる事を除けばな」
溜め息混じりに返して、「けど」と続ける。
「……ま、一先ずよかったんじゃないか?これでお前の夢が叶うんだろ?」
「そう、よね……そうよね!!!妖精の尻尾に入れるんだもんね!!!夢じゃないよね!?」
焦って問うと、彼はこくりと頷いた。それを見た途端、突然現れた幸運が現実のものだとやっと理解出来た気がして、それをぐっと噛みしめる。
お色気作戦は失敗して、えげつない男に引っかかりかけて、値切った分は初対面の相手に奢った事で消えて、いい事ばかりとは言えない今日だったけれど。
「妖精の尻尾に入れるんだー!!!やった―――――っ!!!」
それら全部をまとめて忘れさせるような幸運だった。溢れ出す嬉しさを表すように拳を天に向かって突き出して、その手を今度は広げてニアに向ける。何事かと眉を上げた彼も、言いたい事を理解出来たのだろう。
すっと上がった右手とルーシィの手が、ぱちんと明るい音を立てた。
「入るまではあのバカ男に愛想よくしとかないとね」
「ま、頑張れよ」
「もちろん!!」
大きく頷いて見せれば、ニアも軽く頷く。
妖精の尻尾に入る為だ。あの男には悪いが、入るまで利用させてもらおう。ちやほやされるのが好きなようだから、少し愛想よくしていれば騙されてくれるはずだ。
「それじゃあ、ルーシィ」
そんな考えを巡らせるルーシィに、特に変わった様子もなく彼は言う。
「お前との約束は守った。……ここでお別れだ」
「……あ、そっか。あたしが妖精の尻尾に入るまで、だったっけ」
「入るのが確実になった今、護衛は必要ないだろう」
確かにニアと再会した時、そうい
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