序章
妖精の尻尾 《前》
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「行く訳ないでしょ!アンタみたいなえげつない男のパーティーなんて」
「えげつない?僕が?」
「魅了よ、そこまでして騒がれたい訳?」
「あんなのただのセレモニーじゃないか。僕はパーティーの間、セレブな気分でいたいだけさ」
「セレモニー、ね…」
えげつない、との一言に心外だとでも言いたげな火竜は決め顔で微笑む。が、魅了にかかっていない今、それに心動かされはしない。
それどころかニアの呟きが示すように、ルーシィもこの男を嫌いなジャンルに放り込み始めていた。女の子達の心を魔法でいじっておいて、それがコイツのセレブ気分を保つ為の道具のような扱われ方をしているのが気に入らない。
「有名な魔導士とは思えないおバカさんね。行きましょ」
「ああ」
やれやれ、と肩を竦めて背を向ける。その言葉を待っていたと言わんばかりに即座に頷いたニアが鞄を肩から下げ、そのまま振り返る事なく広場を出ようと、して。
「待ってよ!」
後ろから、火竜が慌てた様子で声をかけてきた。勿論、振り返らない。こんな男に付き合っているほど暇ではないし、振り返る理由もない。
火竜が、こう続けなければ。
「君……妖精の尻尾に入りたいんだろ?」
ピタ、とルーシィの足が止まった。つられるようにニアも足を止める。
憧れのギルドの名前が突然出てくる、その理由が解らない。訝しげな表情で振り返ったルーシィと、何を言い出すんだと僅かな苛立ちを滲ませたニアに、火竜は顎に手をやり笑った。
「妖精の尻尾の火竜って…聞いた事ない?」
「ある!!!」
「ない」
目を見開いたルーシィが即答した。面倒そうにニアがぼそっと吐き出した。
先ほどまでの毛嫌いっぷりはどこへやら、憧れの妖精の尻尾の魔導士を前にルーシィは体ごと振り返る。
「アンタ、妖精の尻尾の魔導士だったの!!?」
「そうだよ。入りたいならマスターに話、通してあげるよ」
その一言。入れるかどうかも怪しかったギルドに入る為の近道になる言葉。
ルーシィは僅かに停止した。脳内に思考を巡らせて、この男と妖精の尻尾を天秤にかけて、かけるまでもなく答えを出した。
「素敵なパーティーになりそうねっ」
「わ……解りやすい性格してるね…君……」
このチャンスを、二度と回ってこないであろうこの機会を逃す訳にはいかない。今ここでこの話を断ったら、妖精の尻尾に入れないかもしれない。
このえげつない男のパーティーだとしても、憧れ続けた夢の為ならとル
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