過去-パスト-part3/光の贖罪
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?なぜ彼を利用する!?」
『その前に一つ尋ねよう。メビウス、なぜお前はこの地球人の少年を助けようとする?』
「なに?」
『この少年はウルトラマンを…ツルギを憎んでいる。幼き日からウルトラマンに憧れ、いつかは自分もウルトラマンになりたい、地球防衛軍の一員としてウルトラマンと共にこの星を守りたいと願い続けてきた。だが、その夢をお前たち自身が壊したのだ。たった一発の…お前たちの得意な光線技によってな』
「…!」
以前、サイトと会った時に話を聞いていたミライはぐっと息を詰まらせる。現在のウルトラマンヒカリ…ツルギがボガールを倒すために放った光線が、結果として今の状況を作り上げてしまった。思えば、あの時自分がツルギの単調すぎる光線を見越し、身を挺してでも防いでいれば、こんなことにはならなかったのではないだろうかと思ってしまう。
『今、この少年は私の能力で幻惑を見せられている。死んだはずの家族と幸せのみで構成された世界にな。お前たちの不始末を我々が解消したということになるな』
バルタンはそう言ってサイトの方を振り向く。
「見ろよ父さん。俺…GUYS入隊試験に合格したんだ…これなら、どんな悪い侵略者が…来ても…俺が皆を…守ってやれるんだ…」
ふらふらと歩きながらサイトは、家族と暮らしている幻影の世界の中で、父と会話していた。
「何を言うんだ!サイト君の悲しみは虚像なんかで癒せるものじゃない!こんな幸せはまやかしだ!」
ミライはバルタンの言葉を真っ向から否定した。彼自身にもできれば変えたい過去はある。自分の人間体のモデルとなった青年、バン・ヒロトをウルトラゾーンから救えなかったことだ。だが、その辛い出来事が今の自分…ヒビノ・ミライとしての自分を作り上げた。過去を否定することはミライ=メビウスにとって自分の存在を否定することと等しかった。
『メビウス、もし貴様が憎き敵…たとえば、ヤプールから命を救われたらどう思うのだ?感謝するのか?それとも、敵に情けを掛けられた屈辱を味わうのか?』
ヤプールに、命を救われる?考えたことはなかった。ましてや、奴の特性上ウルトラ戦士と最も禍根が深いあの凶悪な侵略者が自分たちを救ってくれるとは到底考え難い。それに、信用しろと言われてもすぐに信じることなんて無理な話だ。奴はこれまで何度も下劣な手段を用いて地球を侵略しようとしてきたのだ。命を救われても、それも奴の策謀の一端にすぎないと考えてしまう。
『この少年もきっと今の貴様と同じことを考えるだろう。彼は仇であるツルギとは同族のお前たちからの救いを望んではいない。いや…彼だけではない。別に地球を救うのは何もお前たちウルトラ戦士である必要などないだろう』
「何が言いたいんだ?」
『貴様たちに、この星から手を引けと言うのだ。我々は、この星をもらう。その見返りに…現在の地球人
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