喪失-ロスト-part4/滅亡の王家
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ュシュっと風切音がする程に鋭い突きを繰り出してきた。その動作は細かく、無駄な動きがない。サイトはすっかり、ワルドの猛攻に防戦一方になってしまった
(コイツ!?今の俺と同じくらいすばやい!ギーシュやフーケなんかとは全然違う!)
ワルドの突きをデルフで防ぎならが、サイトは何とか攻撃に転じようといったん後方に跳躍し距離をとった。
「どうした?もう息があがっているぞ」
「うるさい!」
ワルドの言葉に歯噛みする。するとデルフがイラッとした声を漏らしてきた。
「なんでぇあいつ、魔法を使わないのか?」
「……お前が錆び錆びだからなめられてんだよ」
もっとも、実際になめられてるのは自分の方だろう。そう思うと、奴の卑劣さへの怒りとプラスして三割増し、ワルドへの怒りが倍増する。対してワルドは余裕といった様子である。
「魔法衛士隊のメイジはただ魔法を唱えるわけじゃない。詠唱さえ戦いに特化されている。杖を構える仕草、突き出す動作……杖を剣のように扱いつつ詠唱を完成させる。軍人の基礎中の基礎さ」
「要らねえお世話だ!!これでもくらえ!!」
サイトはデルフを構えなおすと、風車のように大きく振り回しながら切りかかった。
「ふむ、アイデアは悪くないな」
しかしワルドは才人の動きを意図も簡単にかわす。
サイトは続けざまに情人を超えた精一杯のスピードとパワーで何度も大きく切りかかる。
しかしワルドはサイトの攻撃を見切り、余裕の態度で難なくかわし、杖で受け流し、時には受け止める。デルフを受け止められた瞬間サイトは大きく足払いを放つが、それもワルドが軽く飛んだことでなんなくかわされてしまう。
「確かに君は素早い、流石は伝説の使い魔。それに場数も多く踏んでいるようだ。しかし!」
サイトが大きく切りかかった際にワルドは流れるような動きで背後に回り、サイトの後頭部に一撃を加える。
「がはっ!!」
「「「サイト!」」」
一撃を食らったサイトを見て、ルイズ・キュルケ・ギーシュが顔を上げた。
「しかしそれだけだ。速いだけのまともな戦い方を知らない素人。全ての攻撃が大振りだ」
ワルドは地面に倒れたサイトに背を向けて言い放つ。口からちょっとだけ出てきた血をぬぐい、サイトは瞬時に体を起こしてワルドに切りかかったが、やはり難なくかわさる。即座に反撃に転じるワルド。
彼が放つ、閃光の如き突きの数々をサイトはやっとの思いで防ぐのが精一杯だった。
「ただ剣を振るだけじゃ本物のメイジには勝てない」
ワルドの繰り出す無数の突きに防戦一方なサイトに向かって彼は呟く。
「つまり、貴様ではルイズは守れない。何一つ守れやしない!全て失うがいい!!」
「ッ!?」
――――何一つ、守れやしない!
――――すべて失うがいい!
その一言を聞いたサイトの脳裏に、
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