喪失-ロスト-part3/閃光の背信
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ね。ただの憧れ。それは恋や愛とは全くの別物よ。それに、あたしとしてはこの結婚は勧められないわね」
「どうしてだい?あのワルド子爵だぞ。魔法衛士隊グリフォン隊隊長にして『閃光』の二つ名を持つワルド子爵。女性からすれば、あのような殿方を結婚できるルイズは幸せ者じゃないか」
サイトと同様、意味がが分からないとギーシュが言ったが、キュルケはこれだから…と呆れたようにため息を漏らした。
「そもそも、あの男の目は情熱を知らない、冷たい氷のようなものよ。あんな奴から歯の浮く言葉を聞いたところで、全然燃えてこないわね。そんなのにまんまと引っかかるルイズや、結婚を勧めたヴァリエール家の連中も、相変わらず男を見る目がないわね」
それはキュルケの価値観から見てのことじゃないのか?とサイトとギーシュは突っ込みたくなる。
「って、あたしが聞きたいのはルイズのことじゃないの、ダーリンのことよ」
キュルケは自分の隣に座るサイトを見て言った。その目は、決しておどけた目つきじゃなかった。一人の人間としてまっとうな言葉を待っている目立った。
「ダーリンは、ルイズとワルドが結婚しても言いわけ?」
「…いいって言ってんだろ。もうすぐ式が始まるんだから大人しくしとけよ」
あ、そう…。そう言ってキュルケはサイトに何も言わなくなった。
教会内にてウェールズは王家の紫色のマントを羽織り始祖ブリミル像の前に立っていた。
すると礼拝堂の扉が開かれ此度の新郎と新婦、ワルドとルイズがその姿を見せた。ワルドは変わらず魔法衛士隊の服装だたが、ルイズはアルビオン王家から借りた純白のマントと、白い花とレースのあしらえた冠を身に纏っていた。
綺麗だ…。舞踏会の時と同じようにサイトはそう思った。あの時の、本当に綺麗なお嬢様としての姿を見せたルイズに目を奪われてしまったものだ。
でも、彼女の今の姿は、ワルドのためにあしらえたもの。そう考えると、どうしてかあまり穏やかな気持ちではいられなかった。
二人がウェールズの前まで歩いてくると、ワルドはウェールズに一礼した。
「ではこの私、ウェールズ・テューダーが始祖ブリミルの名において詔を唱えさせて頂く」
二人の結婚式はついに始まった。ウェールズとしては、愛するアンリエッタの友人をこうして祝福できることを嬉しく思っていた。
「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
一方で、ウェールズが詔を読み上げるなか、ルイズは上の空だった。憧れの人との結婚。自分と彼の父親たちに決めてもらった、幼い頃ろからの結婚の約束。心のどこかで思い描いていた未来が現実になろうとしている。
(それなのに、どうしてこんなに気持ちが沈んでいるの…?)
湧き上がる疑問に、彼女はその理由を求めた。ワルドは確かに優しくて強い。
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