婚約者-ワルド-part2/ゼロの憤り
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石に言い過ぎではないか?ワルドが何を言いたいのかわからなくもないが、自分たちはウルトラマンに大きな借りがあると言うことでもある。それをちゃんと返すのが自分たちの成すべきことの一つでもある。だから、何も邪魔者扱いまですることはないのではとルイズは思っていた。
「ウルトラマンの存在がなぜ、いてはならないのか。そう言った理由はある。
一つは、貴族をより調子づかせてしまうということだ。
人間の危機を察して、怪獣の魔の手から人々を救ったウルトラマン。まさに物語の英雄が実在のものとなった存在としても見られる。だが、中にはこんなことを考えた貴族がいたんだ。『ウルトラマンとは、我々のような選ばれし高潔な貴族のために始祖が遣わした存在だ』とね。これを言ったのは、裏で平民への重税を課して私腹を肥やしている評判最悪の貴族の意見だ。悪いことに、彼は戦争でもトリステインのためにウルトラマンは力を貸してくれるだろうと言う妄言まで吐いている」
「なんて都合のよすぎる解釈なのかしら…根拠がなさすぎるし、怠け具合がまるわかりじゃない」
ワルドが言っていたその評判最悪な貴族の話に、ルイズは不快感を覚える。
「二つ目に、平民たちからもよくない意味で英雄視されていることだ。先ほど話したような貴族が増える一方で、それに呼応して悪評のある貴族へ反感を抱く平民たちも増えている。彼らはウルトラマンを『この世界を変える救世主』と見ている。聞こえ自体はいいんだ。でも、それは同時に、平民たちは政を取り仕切る私たちを頼らなくなってしまう。しつこく言うが、今は悪評のある貴族が増えている。そんな中で、まともに政をやらず自分たちの事ばかりを考える貴族と、人間のために己が身が傷つくのを恐れず恐ろしい怪物と戦う勇敢な戦士、ウルトラマン。はたして皆はどちらを頼るだろうか?」
ルイズは答えなかった。いや、答えるまでもなかった。自分を敢えて平民側の立場に立たせて考えてみれば、どっちを選ぶかなんて決まっている。
「間違いなくウルトラマンを選ぶだろう。そうなれば、『だらしのない貴族なんか必要ない。ウルトラマンさえいれば俺たちは安泰だ』と考える者が一層、身分に関係なく現れるに違いない。それは同時に、私たち人類をウルトラマンになんでも任せてばかりの惰弱な存在に退化させてしまう可能性が大きい。
だから僕はね、指先一つで国を動かすことも、魔法でウルトラマンさえも凌駕することさえもできるような、立派な貴族になる。そしてトリステインを、そしてハルケギニアを改革したいんだ。そうすればこの国は、もう何者からの脅威におびえることはない」
『あの野郎!!!』
ゼロはワルドの言い分に凄まじく腹を立てていた。自分たちウルトラマンを目の上のたんこぶ並に見るような言い方をしてくれているのだ。自分たちだけじゃ、怪獣相手に何もできなかったくせ
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