召喚者-ティファニア-part3/銀色の巨人
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音のような息遣いをしながら、ハルナに忍び寄っていた。
その気配を、ハルナは背筋で感じ取った。誰かが、自分の背後から覗き見ている。痴漢か?それともストーカー?それとも…まさか、別の何か?
(何…なんなの?)
背筋がこれほど凍りつく思いを感じたのは初めてだった。これはさっき例に挙げた痴漢程度のものじゃない。何か、もっとこう…そう、例えるなら…。
中学時代にこの目で見た、ウルトラマンメビウスやGUYSを最も苦しめた凶悪な侵略者
―――『暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人』のような、身の毛もよだつどころでは済まされないモノ。
振り向いてはいけないはずだった。でも、ハルナは恐る恐る振り返ろうとする。振り向くことは確かに怖い。でも、湧き上がる興味と、得体の知れない存在への警戒のために後ろを振り返っていく。
『ダメだ!』
え…?誰の声だろう。急に頭の中に、たった今感じた寒気とは真逆のモノを感じる声が聞こえてきた。その声は必死にハルナに向けて呼びかけていく。
『後ろを振り返ってはいけない!!そのまま逃げるんだ!』
逃げる…?そうだ、何をしているんだ自分は。こういう時は何も見ないまま逃げるべし。ハルナはすぐさま走り出した。とにかく走り続けた。何が何でも走り続けた。でも、ハルナは感じていた。自分を追う『それ』が、自分をものすごい速さで追いかけていたことも。
「はあ、はあ、はあ…!!」
何秒、何分、何十分…。どこまで、いつまで走り続けていた。ハルナは息を切らしながら走り続けた。足が疲れ、体力を浪費させ、あまり運動が得意じゃなかった彼女は長く逃げ続けることはできなかった。
気付いたときには、酷い体力切れ状態で膝を着いていた。もう走る気力さえも残っていない。
あれ…?ハルナは首を傾げる。なんで自分は逃げているんだ?なんであの声の言う通りにしているんだろう?息を切らしながら思うハルナ。顔を上げて立ち上がろうとした時、彼女の目の前にはあるものが目に入った。
もくもくと沸きあがる、赤黒い暗雲が彼女の頭上に湧き上がっていた。
「…!!!」
その暗雲の中に潜む闇は、ハルナの心を恐怖の闇に染め上げる。声にならない悲鳴を漏らしながら、ハルナは尻もちをついたまま後方へ後ずさる。
怖い…怖い…。
「やだ…来ないで!!!」
「!いかん!」
それをちょうど通りかかった、傘を被った壮年の僧が通りかかった。少女の頭上に立ち上っている暗雲。それがどんなに恐ろしいものかを、彼は以前から知っていたかのように理解した。その少女を助けようと彼女の元へ走り出す僧。
だが、彼の手が届く前に、その怪しげな暗雲から不気味な光があふれ出し、ハルナに向かって飛びかかってきた。
きゃ
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