召喚者-ティファニア-part2/もう一人の地球人
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はいかないと杖を構えた。
「いきなり何をしてんだい!!」
「…それはこちらのセリフだ。俺にいったい何をした…?」
まるで凶暴な獣のような目で、子供たちを含めた全員を睨み付けている。
「この人悪い奴だ!」
「テファお姉ちゃんになにしてるんだ!」
「お姉ちゃんに変なことするな!僕が相手になってやる!」
子供たちはなだれ込むように果敢に立ち向かおうとしたが、「だめだ!」とすぐにマチルダが動かないように言った。下手に動けばテファが危ない。それに気づいて子供たちは辛うじてその場で立ち止まった。
マチルダは青年のとった行動に動揺せざるを得なかった。使い魔は主には忠実な存在。すでにテファと彼は、自分たちの勝手に行ってしまったことだが契約を完了してしまった。だが、この青年は人間だからだろうか。警戒を抱いているためか自分たちに…それもテファに対して明らかに反抗的だった。テファが人質の状態。この距離では詠唱が間に合わないし、迂闊に攻撃はできない。召喚の儀式を勧めた自分がこの事態を招いた。ならば責任もってこの青年をどうにかしなければならないか?我ながら勝手とはいえ、これもテファの安全のためとしたマチルダはどうにかテファを救出できないかと、動かないまま青年の動きを探る。
「ま、待ってみんな!この人はただ、いきなりここに呼び出されて混乱しているだけだから!」
しかしテファは捕まっている身だと言うのに彼に敵意を向けなかった。彼がこんな行動をとったことを恨みもしなかった。そもそもこの青年をこの村に召喚したのは自分だ。怒るべきは自分たちではなくこの人の方。まずは落ち着いて話をするべきと判断した。
「ごめんなさい。でも安心して。私たちは、あなたの敵じゃないわ」
そっと彼の手に触れたテファは青年に落ち着くように言った。
「…………」
青年はテファの目を見る。裏表のない純粋な目。嘘は言っていなかった。青年はテファを放し、腕のアイテムを元の形に戻し、ベッドに腰掛ける。
「あの……私、ティファニアって言います。あなたの名前を教えてもらえるかしら?」
青年と向きあい、落ち着いて彼の話に耳を傾けた。我が妹ながらなかなかどうして冷静なのだろう。これもテファの元来からの純粋すぎる優しさがそうさせたのか。マチルダはテファに対しても内心では驚きの感情を抱く。
「………黒崎、修」
「クロサキ、シュウ?」
変わった名前だ。名前もそうだが、黒い髪と瞳、少なくともアルビオンの人間ではないだろう。
ひとまず、もっと落ち着いて話をする環境を求めて、居間の椅子とテーブルに移った。
テファとマチルダは隣同士、シュウとは向かい合う形で座った。
「…俺から聞きたいことがある」
「え、ええ…」
テファは若干彼のことを怖がっているように見えた。気弱なこと
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