召喚者-ティファニア-part2/もう一人の地球人
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人となんて滅多に話さないし、そういう問題でもないのに…もぅ…」
もうここまで来たら後には引けない。テファはもじもじしながらも、うめき声をあげる青年に、杖を掲げながら顔を近づける。
「い、五つの力を司るペンタゴン…この者に祝福を与え、我の使い魔となせ…」
額に杖を軽く当て、杖を一旦下ろし、彼の両頬を両手で包んで自分の唇を近づけるテファ。心臓がバクバクしていて自分でもうるさく思えるくらいだ。
「ん…」
やわらかく甘い、艶やかな唇が、青年のそれに触れた。テファの鼓動は爆発直前のエンジンのように止まることを知らない。この鼓動が彼に伝わらないでほしいものだ。しかし、鼓動に気づかれる以前に、唇と唇を重ねた感触が、童話の眠り姫を目覚めさせるかのように、青年の目を覚まさせてしまったのだった。
「!!!!!!!!!???」
目覚めた青年はテファに…別に恋人でも友人でもなく、会ったこともない口づけされているという事態に激しく動揺し、唇同士が触れ合ったままの状態で息を詰まらせた。テファも彼の目覚めに気づき、慌てて唇を放した。
「ごごご…ごめんなさい!これは、その…えっと…深い事情が…」
顔を真っ赤にして、彼にわかるように説明しようにも、申し訳なさと恥ずかしさが完全に彼女の冷静さを奪っていた。対する青年も口元を押さえてテファたちから視線を背け、羞恥のあまり顔が朱色に染まっているが、直後に彼に激痛が襲いかかる。
「…っぐ!!!?…がああ…!!!」
「大丈夫!?」
彼が急に胸を押さえて苦しみだした。テファはもしかしたら傷が痛みだしたのではないかと思ったが、マチルダは落ち着けと彼女の肩を両手でつかんだ。
「使い魔のルーンが刻まれてるんだ。命に別状はないよ」
あまり間を置かないうちに、青年の痛みに耐える悲鳴は収まった。
「はぁ…はぁ…」
胸を押さえながら青年は激しく息を切らした。恐らくルーンを刻み終えたのだろうとマチルダは思った。しかし、ルーンは一体どこに刻まれたのだ?見たところあまり…いや、よく見ると胸に刻まれている。見たこともない文字のようなものが…地球のヨーロッパで使われているルーン文字のようなものが彼の胸に刻みつけられていた。
「どうやら成功したみたいだね」
「あの、大丈…きゃ!!」
テファが彼を心配して手を伸ばしてきたが、突如彼女は腕を引っ張られた。羽織い締めにされた彼女は、同時に激しい警戒心を抱いた目を向け、左手首に装備していた奇妙なアイテムを変形させ、テファの首筋に当てた。
「お姉ちゃん!」
子供たちは急な出来事に驚愕し、青年への恐怖心と警戒心を抱く。
よく見ると、あのアイテムには銃口らしき穴が小さく口を開けている。銃火器系統の武器と見た。マチルダは青年が刃向ってきたという事態に驚きながらも、妹を傷つけられるわけに
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