盗賊-フーケ-part2/盗人の守護者
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翌朝、魔法学院では大騒ぎが起きた。
決して破られないはずの宝物庫から財宝が複数、そして破壊の杖が盗まれた。それもゴーレムによる目立つうえに豪快な攻撃によってだ。学校中の教師たちは全員それを聞いて唖然とした。あの後フーケ捜索部隊を編成してフーケを探しに向かわせたのだが、残念なことにフーケを見つけ出せず、見つかったのはゴーレムだったと思われる土の山だけ。
―――破壊の杖、確かに領収いたしました。土くれのフーケ。
残されたメッセージを思い出し、教師の一人が憤りを見せる。
「学院にまで入り込むとは、土くれのフーケめ、許せん!それにしても衛兵たちは何をしていたんだ!」
「衛兵だと?所詮は平民だ!当てになるものか!それより今日の当直は誰だったのです!?」
当直は誰なのかと聞かれた途端シュヴルーズの顔が青くなる。
「ミセス・シュヴルーズ!あなたが当直でしたよね!なのに、当直をさぼられるとは!破壊の杖のことをどう償うのですか!」
フーケが宝物庫の破壊の杖を強奪した時、当直だったはずのシュヴルーズは、どうせこの学院に賊など入らないだろうとたかを括り、こともあろうか自室で眠りこけていたのである。
「で、ですがミスタ・ギトーもまともに当直しておられたのですか!?」
ついには当直をしていないことを互いに責めあってみっともなく言い争う教師一同。
「静まりたまえ!」
オスマンが一喝を入れて、ようやく教師たちは黙った。
「まずはフーケを見たものを確認しよう。彼女たちで間違いないかね?」
オスマンに尋ねられたコルベールは「はい」と答える。この時呼び出されたのは、昨日フーケの犯行現場に居合わせていたサイト・ルイズ・キュルケ・タバサの四人。
「君たちはフーケを見たかね?」
「はい、フーケは黒いローブを身にまとったメイジで、巨大なゴーレムを用いて宝物庫の壁を破壊し、破壊の杖を強奪して学院から逃亡しました」
学院長からの問いにルイズが答えた。間違っても、自分とキュルケの馬鹿らしい決闘で壁にひびを入れてしまったなんて言えなかった。自分の罪状を誤魔化しているようで情けないが。
ふむ…とオスマンは髭を撫でる。手がかりと言えそうなものは何もなかった。
「こんな時にミス・ロングビルはどこに…?」
コルベールは学院長室中を見渡すが、この時ロングビルだけは何故かいなかった。それもそのはず、彼女こそフーケの正体だったのだから。昨日そうだったように、破壊の杖を売るために使い方を知る、そのために策謀を巡らせている。
「すみません!遅くなりました!」
ちょうどその時、ロングビルが学院長室に入って来た。何かしらの策を思いついたのだろうか。
「どこに行ってたのです!?こんな時に!」
「申し訳ありません、ミスタ・コルベール。実は今朝から調査してい
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