遭遇-コンタクト-part2/もう一人の巨人
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モット伯爵の部屋では、椅子に偉そうに座る伯爵と、その隣で茶を注ぐシエスタがいた。
「どうだ?ここでの仕事には慣れたか?」
「はい…」
頷いてはいるが、シエスタの表情はどこか悲しげに見えた。
「わかっていると思うが、私はお前をただの使用人として雇ったわけではない。今日の夜伽が楽しみだ」
モット伯爵はシエスタの匂いを嗅ぎだし、おかしなところまでベタベタ触りだす。
「……」
正直一人の女としてこんなことをしてくる伯爵のことをシエスタは激しく嫌悪していた。今すぐ逆らいたいところだが相手は魔法を使う貴族。無力な自分にはどうしようもない。その時、兵士の声が扉の方から聞こえてきた。
「伯爵様。サイトと名乗るものが面会を求めています。」
「サイト?聞かぬ名前だな」
(サイト?まさか…)
その名で彼女の脳裏に真っ先に浮かんだのは、貴族の男に奇跡的な勝利を得た青年だった。
どうせ時間はまだあると思い、モット伯爵は面会用の部屋に入って、サイトを見たとたんに興をが削がれたようにため息をついた。
「なんだ、誰かと思えば平民ではないか。わざわざ平民がこんな夜更けに出向くとは、何の用だ?」
「シエスタを返してください!」
そのサイトの言葉を聞いた伯爵は鼻でふっ、と笑う。
「何を言い出すかと思えばそんなことか。あやつは私の使用人だ。何をしようが主の自由」
「やっぱりそのために…!」
わざとらしくしっしと虫を追い払うように手を振る伯爵の姿に、サイトは怒りで身を震わせていく。
「この伯爵たる私に、平民が奉仕するのだ。これとない名誉ではないか?」
この勝手すぎる貴族の意見に、ついにサイトの怒りが沸点を超えた。
「ざけんな!何が名誉だ!汚ないぞ!シエスタが逆らえないからって!」
「汚いだと?平民ごときがこの私に無礼な!」
「無礼?は、言ってろ!あんたこそ無礼じゃねえか!いくら貴族だからって権力を盾に、嫌がる女の子を体目的で無理やり連れ込むなんて、貴族以前に人間としても男としてもあんたは最低最悪だ!!」
「き、貴様…!!」
サイトの言い分は正論だ。だがこの世界の貴族からすれば、たとえ正論であろうと、貴族を侮蔑した礼儀知らずの無礼者。伯爵はたかが平民の小僧ごときに舐められたと思い、その手に持っていた杖でサイトを始末しようと画策する。サイトもまた剣を構えて応戦しようとした。
「この私を愚弄するとはいい度胸だ。いいだろう!始祖の名において貴様を…」
『サイト。ここは流石に強行突破が一番じゃねえか?軽く脅しちまえば、あの生意気な親父の大人しく言うこと聞くんじゃねえの?』
ゼロの声が聞こえてきたが、無視した。
「お待ちください!」
伯爵が杖を振ってサイトに攻撃を仕掛けようとした途端、シエスタが伯爵の部屋に飛び出してきて彼の前に跪
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