遭遇-コンタクト-part2/もう一人の巨人
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爵は、コレをいたくご所望とか」
そう言って彼女が取り出したのは、1冊の本。伯爵がずっと求めていたと言う例のゲルマニアの書物だ。
「ほう、君は?」
「申し遅れました。私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・ツェルプストーと申します」
「ツェルプストー!じゃあそれはもしや…!」
彼女が名乗った名前を聞くや否や、書物の正体を察したようだ。ガタンと、座っていたイスから立ち上がる。
「はい、我がツェルプストー家の家宝『召喚されし書物』です」
目当ての代物が唐突に手に入ったことで、伯爵は飛び上がるほど喜んだ。しかも内容は好色家である彼の趣向にピッタリ。どうやら満足のようだ。
「おお!これがあの…よかろう、今回の件については不問とする。帰ってよいぞ」
よかったと、胸をなでおろす一同。キュルケが念のためにと、本を持って来たのが功を奏したようだ。
「伯爵、お言葉ですが一つお尋ねしたいことが…」
そうだ。忘れてはならないことがある。キュルケは家宝の書物を手渡す前に、伯爵に尋ねなければならないことを聞いてみる。
「この屋敷の門前で見張っていたあの兵たちはなんだったのかお聞きしてよろしいですか?」
「門前の兵だと?」
次に、ルイズが質問の詳細を告げる。
「恐れ多いことをお訪ねしているやもしれませんが、私の使い魔はあなた様からシエスタ返却の条件を付けられここを出ようとしたとき、ここの兵士たちに襲われたと言っています」
「何を言うのだ?ヴァリエール嬢。それではまるで、私がこやつとも約束を最初から守る気がなかったと言うことではないかね?」
何のことかわからないと、伯爵はとぼけた様子を見せる。よくもぬけぬけと…とサイトは思っていたに違いない。兵たちが命令でサイトを暗殺しようとしていたじゃないか。最初からシエスタを返そうと思ってもいなかった何よりの証だ。しかし気になるのはその資格に送った兵のことだ。ゼロやタバサの話だと、あの兵士たちは戦う前からすでに死んでいたじゃないか。この伯爵、何か隠していたのか?それとも自分の兵がおかしかったことに気づいてもいなかったのか?
「もしかしたら、あの兵たちは私が雇ったメイドたちが次々消えていく現状に苛立っていたのかもしれんな。何せ仕事仲間だ。急に何も言わず姿を消していけば心配のあまり苛立ちをまき散らしかねん。まあ、私の前ではそんな野蛮な姿を見せんがね」
しかし意外。伯爵は何か奇妙な情報を与えてきた。噂になっていた、伯爵家の使用人の失踪。ただの噂話ではなかったようだ。
「まあ、我が兵のことはこちらでなんとかしておこう」
この流れだと、後者…つまり自分の塀の異変に気づいていなかったと考えるべきかもしれない。…だったらもうこんな危険何かが潜んでいそうな土地にシエスタを置いていけない。
正直この伯
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