王都-トリスタニア-part2/傲慢なる戦士
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ところ変わって、トリステインから北西の方角にある国。
そこに『アルビオン』と呼ばれる王国が存在している。その大陸はすごいことに浮遊大陸で、その通り空の上に浮いている。白い雲がその国を覆っていることから『白の国』の異名を持つ。トリステイン王家とは深い親戚関係にあり、二国は二つに分けられておきながら一つのまとまった固い絆が結ばれている。
しかし、その国では内乱が起こっていた。
アルビオン王家を中心に動く王党派と、新たに優れた貴族による統治を望み共和制を掲げる貴族派こと『レコンキスタ』の二派に別れて戦争をしていたのだ。どんな理由があるにせよ、反乱を起こし民を脅かすような不届きな輩に王党派の貴族たちは反乱軍に負けるわけはない。そもそも乱を起こすようなことは当然の罪だ。その認識が当初は王党派の圧倒的有利な状況を作っていた。
しかし、その日を境に王党派は大逆転を許すことになってしまう…。
「行方不明者が続出?」
「はい、特に夜間中に何か奇妙な鳴き声を聞いて、それを突き止めようとした者は誰も帰ってこなかったと、前線に赴いた兵士たちから報告がありました。最近家族が帰ってこないと地元の平民たちからも…」
双方の戦争に、突如次々と、前線に赴いた王党派軍の主力の原因不明の失踪事件が相次いだ。何者かが連れ去ったのか、それとも暗殺したのか、消えた人間の居所は掴めていない。
このときの王党派は弱小だったはずのレコンキスタに負けるほどではなかったが、アルビオン王が国の法を乱した弟である大公と、主にサウスゴータ太守等大公に従っていた一派を処断したことで軍事力・政治力ともに低下させていたのだ。それがレコンキスタという賊軍を生み出す結果を招いてしまったのだ。
アルビオン王家の城にして本拠地、『ニューカッスル城』の会議室にて、この失踪事件をどう解決するかの討論が執り行われていた。この戦時中に発生した失踪事件は乱を鎮圧するためにも早期に解決しなくてはならない。
「もしかしたら、レコンキスタ共の奇襲によるものかもしれないぞ」
「このまま勢い着けば、奴らはいずれここを攻めてくるでしょうな」
「狙いは我らが主の命と、王家が始祖より受け継ぎし秘宝ですな。これは間違いないだろう。奴らはエルフに奪われた『聖地』を奪還することを最終目的としている」
「秘宝…皇太子がお持ちの『風のルビー』、『始祖のオルゴール』、そして…我らだけしか知らないはずの『始祖の箱舟』…か」
ざわつく王党派貴族の重臣たち。
「ならば調査部隊を編制、直ちに失踪事件の現場へ向かうべきです」
「ですが、敵がそう簡単にしっぽを出すのか?連中は叛徒といっても馬鹿ではないはず」
すると、その調査部隊のメンバーに加わろうと、ある青年が我こそはと杖を掲げ名乗り出た。
「ならばここは、僕自身が囮となって
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