王都-トリスタニア-part2/傲慢なる戦士
[4/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
らないことを見極め、やり遂げなくてはならない。
でも、父上たちの言いたいことも彼は理解していないわけではない。自分は曲がりなりにも皇太子だ。もう打つ手がないほどの危機的状況でもない限り、自分の身を危険にさらすことは基本的に許されない。いちいち国の危機にかかわる程かどうかもまだはっきりとわかっていない問題にウェールズを巻き込むわけにはいかなかった。
しかし影に隠れているだけの王族に着いて行く者がいるはずもなく、時に戦場に出る場合もある。自分だって戦の経験が全くないわけではないし、この国と民のために一つでも多く何かを成し遂げておきたいのだ。
「…」
ウェールズは自身の右掌を見ると、その手をぎゅっと握った。
(僕、我らアルビオン王家の体に流れる…伝説の『鏡の騎士』の力さえあれば…!!)
「キシャアアアアアア!!」
「な!?」
その時、突然ウェールズの目に奇怪な鳴き声と、不気味な姿をした怪物の姿が飛び込んできた。
一方で、トリスタニアの街にもまずい事態が起こったのだ。ルイズとサイトの先ほどのもめごとが起きた直後のことである。
「キシャアアアアアアアア!!!」
天を切り裂くような鳴き声がトリスタニアの空に響いた。そしてズシンと重い音が鳴ると上空から巨大な影が降り立った。
ウルトラマンメビウスが地球で最初に戦った敵、『宇宙斬鉄怪獣ディノゾール』。
降り立つや否や、ディノゾールは鋭い雄叫びを上げて口から細く目に見えない何かを吐きだした。すると、それに当たった建物が、次々と屋根の角の部分などを中心に切り落とされていった。
「な、なんだありゃ…」
サイトの背中から、デルフがあんぐりとした声を漏らす。自分の切れ味なんかかわいいものに思えるほどの切断力。なんという脅威か。
ディノゾールの口から放たれた鋭い鞭状の舌『断層スクープテイザー』。それは、目に見えないほどの速さで振り回すことであらゆる物体を瞬時に切断する。舌の総延長は1万メートルだが、直径は1オングストロームという異常な細さで、視認は非常に困難な凶器だ。
「う、うわああああああ!!!」
その悍ましく恐ろしい姿と、その攻撃を見たトリスタニアの住人達は恐れおののいて、ディノゾールから離れようと逃げ出していく。
「ディ、ディノゾール!?」
サイトは見覚えがある。何せこの目で最初に見た恐るべき怪獣だったのだから、その当時の光景を色濃く覚えていたのだ。
「サイト、あのモンスターを見たことがあるの!?」
「ああ…俺の知ってる対怪獣防衛隊を、全滅に追い込んだほどの怪獣…でも、どうしてこの世界にディノゾールがいやがる!?」
当時の光景を思い出すと、足が震える。また、あの恐ろしい悪夢を生み出した奴をまたこうしてみることになるなんて思っても見なかった。サイトが
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ