王都-トリスタニア-part2/傲慢なる戦士
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たちが次々行方をくらます…。
(まさか、最近我が軍から失踪者は多発していたのは…)
この怪物が原因だったのか!?突然現れ、人を食らおうとする。その習性をもつこの怪物ならあり得ない話ではない。
とにかく、こいつを早く倒さなくては。見たところこの化け 物は軟体動物。ならば切り裂く魔法で攻撃すればさすがに深いダメージを与えられるかもしれない。ウェールズは直ちに『エア・カッター』の詠唱に入ったのだが、その時ペドレオンの体から気色の悪い触手が伸び、ウェールズの腰に巻きつき、彼を引っ張り出した。
「キィイイイイイ!!」
「うああああ!!!」
ウェールズは近くの木にとっさに右手でつかまった。このまま食われてたまるか。力を振り絞ってペドレオンの拘束から逃れようとするが、ペドレオンはあまりにも力強く引っ張ってきている。悪いことに杖は今の拍子で落としてしまった。しかもこの辺りは人があまり来ない。助けを求めようにも、皆のいる場所から遠すぎる。それでも諦めきれない…否、諦めるわけにはいかない。だが、木に捕まっている腕にしびれが走り、木を掴む力が弱まっていく。もう限界だ。
杖を失い、ここに助けに現れる者が来るには時間がかかる。今の状況で応援が来ても、自分が助かる確率は低い。
(もう、だめなのか…!!)
――――諦めるな
何かがきらめいたような音が聞こえてきた直後、爆発音と衝撃が走り、ウェールズはペドレオンの触手から解放される。はじき出される形でバルコニーを転がった彼は、一体何が起こったのか確かめるべく、少し痛む体を起こした。
立ち上がったウェールズは、これまでの人生で最も驚くべきものとも取れる光景を目の当たりにした。
「………………………!」
ペドレオンがいたと思われる場所に、装飾の施された腕輪を身に着けた銀色の巨大な拳がバチバチと静電気を放ちながら突き刺さっていた。拳が引き抜かれ、ウェールズはその腕の主の姿を見上げる。
なんと雄々しく巨大な姿なのだろう。50メイル(ハルケギニア単位で、地球の単位で1メイルにつき1m)近くだろうか?美しい銀色のボディに、赤いY字型のクリスタル。そして白く光る眼差し。その目は、どこか暖かみを感じた。
「銀色の………巨人…」
これは夢かと思った。だが、目を擦っても消えない。銀色の巨人が自分を助けてくれたのだろうか?そう思っていると、巨人はスウッ…と霧のように消えていった。
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