才人-ジ・アース-part2/異世界へ
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ール星人の船内にあるあれではない。きっと何かしらの別物だ。
一方でサイトは逃げ遅れた子供の元へ駆けつけた。
「君、何してるんだ!早く脱出するんだ!」
脱出を呼びかけたサイトだったが、その時またクール星人の宇宙船が激しく揺れて、サイトは発光体に手を突っ込んでしまう。それだけだったらまだよかった。だが、この状況でもっと最悪なことがその時起こったのだ。
「な、なんだこれ…手が抜けない!!?」
なんと、発光体に突っ込まれたサイトの左腕が抜けなくなってしまったのだ。
すると、同じように逃げ遅れた子供とサイトを助けに来たリュウが駆けつけてきた。子供を抱えたリュウはすぐサイトに呼びかける。
「お前も早く脱出しろ!」
さっきから腕が抜けない。地面に埋まった大きな株を抜こうとするように、サイトは無理やりにでも自分の腕を引っこ抜こうとした。だがさっきからちっとも左腕は抜ける気配はない。それどころか、何かに引っ張られているように彼の腕はずぶずぶと引きずり込まれていった。
「アイハラ隊長!俺に構わずその子を連れて行ってください!」
「何言ってんだ!お前も…」
お前も一緒に脱出しろと怒鳴り散らすリュウだったが、地上と宇宙船の距離がもう限界に達しようとしていた。それはサイトも時間の経過と勘によって既に察知していた。
「もう時間がありません!早く!高凪さんのこと、頼みます!!」
「…く!」
もう限界だ。これ以上留まったら自分も、今自分が抱きかかえているこの子供もこの宇宙船から出られなくなってしまう。やむを得ず、リュウは子供を抱えたまま入口から地上へ飛び降りた。装備もなしに人が飛び降りるにはかなりの高さだ。飛び降りて地面に着地した時のリュウは足を痛めてしまった。
「っぐ…!」
「隊長!」
すぐにカナタとハルナの二人が、リュウたちの元に駆け付けた。
「カナタ、俺よりもその子を…」
「…はい!」
リュウから託された子供を抱え、カナタは解放された被害者たちの元へ子どもを連れて行った。
「あの、平賀君は…」
ハルナは恐る恐るリュウに、サイトが今どうしてるのかを訪ねる。今のリュウにとって、その質問はまさに、自分を呪いたい気持ちを強めてしまう猛毒だった。地面の土を握り締めるリュウの姿は、痛々しかった。
嫌な予感というものほどよく当たってしまう。ハルナは空を見上げると、彼方へ消えようとするクール星人の宇宙船と小型円盤の群れが見える。サイトは、まだあの宇宙船にただ一人取り残されていた。
「隊長さん!早く平賀君を助けて!まだ間に合うはずです!」
悲鳴に近い声でハルナは声を上げた。このままではサイトが悪い星人たちのモルモットにされて殺されてしまう。そんなのはハルナにとって地獄の炎に焼かれること以上の苦痛だった。
「それは、無理だよ」
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