暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第202話 忍び寄る影
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身だけだが、戦いの最中 弾丸を受けてしまえば話は別だ。 それでも銃火器のHPが残っていれば修理は可能だが、大口径の銃弾であるへカートの50BGM弾を受けてしまえば、その限りではない。

 死銃のL115の中心部がポリゴンの欠片となって吹き飛んだ。ストックやスコープ、バレルと言ったパーツは無傷でバラバラと散らばった。あれらの部品は再使用が可能だが、失われた機関部を再生することはできない。
 つまり、この瞬間、あの《サイレント・アサシン》は死んだのだ。


――……ごめんね。


 それは決して使用者にではない。希少かつ高性能な銃の為に頭の片隅で弔いの言葉を呟いたのだ。

 そしてもう、この先の戦いはキリトにしか出来得ない。スコープを狙撃で壊された以上、もう遠距離狙撃はできないのだ。

「あとは任せたわよ、キリト」

 疾駆する光剣使いの背中に語りかける。

 だが、遠距離からの支援攻撃ができないからといって、これで終わりと言う事はない。
 敵はまだ、いるのだから。

 だが……、こればかりは仕様がなかった。極限の状態で 闇風を葬り そして死銃のあのサイレント・アサシンを破壊し、大金星を上げたとも言っていい戦い。そのある種の達成感とも呼べる隙を、彼女が生んでしまったとしても……それは決して仕方がない事だった。



「……これ程の遠距離で、仕留め、且つ あの銃を破壊してのけるとは……。流石はGGO一と呼ばれている名狙撃手(スナイパー)だな」


――ッ!!


 シノンの身体を貫いたのは、銃弾ではない。称賛をしている言葉の中に篭る冷徹な気配。歪んだ気配。……殺気とも呼べる何か(・・)だ。

「だが、それもここで終演。……死神が迎えに来た。――君を」

 ただ、淡々と話す口調。その1つ1つが恐ろしい。シノンはもう抗えるだけの精神状態に戻す事が出来ていた。だからこそ、例え背後を捉えたとしても、直ぐにサブウエポンで反撃するだけの心構えはしていたつもりだった。……だが、それを嘲笑うかの様に容易く打ち砕かれてしまった。動く事ができないのだ。
 
 それは、彼女が抱いている過去の闇が原因だけでは無いだろう。

 あの呪われた世界とまで言われたソードアート・オンラインの世界で誰よりもプレイヤーを、人間を殺して、そして自然と身につけた男にだけの能力。……冷酷なまでの威圧感なのだ。



 死が――……直ぐ傍にまでやって来た。


 
 
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