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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第202話 忍び寄る影
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…いや、自分は判っている。奇妙な感覚の正体を。
あれは、言うならば《殺気》だった。
あの世界は、ナーヴギアが脳に送り込んでくるデジタルデータのみによって世界を認識するのだから、そんな殺気や、所謂 第六感的な曖昧とも言える情報が組み込まれている筈がない。
だからこそ、この考えに否定的な者は多かった。
『デジタルデータは、刻一刻と変わり続けている。数値の1つでも変われば、必ず変化はこの世界に現れる。……だからこそ、オレは否定出来ない。数字が乱れる要因は 様々だからな』
そんな中、そう言い放ったのは 誰なのか最早言うまでもないだろう。確かに変われば、何か変化として現れるだろうけれど、それはあくまで机上の話だ。……BOSS戦で 頻繁に彼が口にする『変わった』と言う言葉からの、BOSSの変化を何度も何度も見てきた皆だったから、これは彼しか出来ない話、見れない感覚だと、他の皆は 何処か納得していた。
だが、キリトは違った。
それは何度か、殺気を感じた経験があったからこそ、だった。
そこから、このシステム外スキルは、最も習得が困難な技、と称された云わば最終奥義。《気を感じる》技、彼の代名詞でもある《視る》技。それを称して名付けられたのが《
超感覚
(
ハイパーセンス
)
》だ。
この話は、カーディナルシステムの一部であった、我が娘のユイにも話をした事があったが、彼女をしても、あくまで可能性の話、お兄さんだけの力。とまで言ってしまった。故にオカルト説の方が説得力があるかもしれないと思えたんだ。
「………(死神がいなけりゃ、立場が変わってたかもな)」
キリトはそうも呟く。
この世界に蔓延っている闇は、死銃の他に、あの
聞こえない銃弾
(
サイレント・アサシン
)
を放ってくる
狙撃手
(
スナイパー
)
だけじゃない。
まるで、幽霊の様に気配をたち、その曲刀としては、異形とも呼べる形状から、曲刀じゃなく鎌、と呼ばれた武器《ヘルズコア》でいったい何人のプレイヤーの魂を刈り取った事だろうか。
正直な所、死銃よりも死神の方が怖いとも思えてしまう程だ。
だが、それでもキリトは何の心配もしてなかった。
「…………(
出来る
(
・・・
)
と言ったんだ。根拠はそれだけで充分。そして、オレにも……)」
『ああ。キリトなら出来る。……いや、きっとキリトにしか出来ない事、だろう。適材適所だ』
「(無茶ばかり言ってくれるな? 普段中々無茶言わないから、たまには、って思うけど 内容が酷すぎるぜ?)」
『それでも、出来る。……オレ達なら』
キリトは、目を瞑り、その中に現れた男、自分の背に持たれてきている男の姿を思い浮かべながら、その男と会話を重ねた。それだけでも安心出来るから。心強いから。
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