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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第202話 忍び寄る影
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 それは、あの超絶とも呼べる拳銃(ハンドガン)による、射撃スキルを遺憾無く見せたリュウキをもってしても、そう言わしめた。
 
 仮に、一番大きな隙間を狙ったとしても、確実にバギーには着弾する。バギーに直撃すればキリトには当たらないし、それに銃弾に限った話ではないが、出る力が強ければ強い程、側面部からの、横からの力には弱い。少しでも影響を受けた弾丸は キリトの身体から大きく逸れる可能性もあるし、バギーを粉砕し、その黒炎と共に生み出される爆風でキリトをも吹き飛ばすかも知れない。

 だが、その心配も皆無だった。

 何故なら、バギーにはもう殆どガソリンが残っていない為、例え風穴を開ける事はあったとしても、引火物(ガソリン)が無い以上、炎上も爆発も無いのだ。


 故に もしも死神の方ではなく、死銃の方がキリトを狙うとすれば、北側からではなく西側か、もしくは東側。
 位置情報をチェックしているだろうから、闇風が接近して来る事も、連中は判るだろう。だからこそ、更にしぼり込める事が出来る。勿論、100%と言う確証は無いから、決めつける様な事はしないけれど、それでも。

「……………」

 キリトは、目を瞑り、そしてこの空を見上げる様にしていた。


――今はなき、浮遊城アインクラッド。


 この戦いには人の命が掛かっている。……仲間の命が掛かっている。だからこそ、不意にキリトはあの戦いを思い出していた。

 あの世界では様々な《システム外スキル》を編み出し修練をしてきた。

 デュエルに於いて、剣の位置、アバターの重心から相手の出方を予想する《先読み》。遠距離モンスター、時として人間の視線から攻撃起動を推測する《見切り》。環境音から、敵由来のSEだけを切り分け、位置を探る《聴音》。

 上げればきりが無い程だ。
 キリトは あの世界を攻略する上で、その頂上で待ち構えているだろう、茅場昌彦(ゲームマスター)との最終決戦を早い段階から見据えていた。この世界の全てを創造した相手が最終BOSS。それを考えたら、恐らくは誰でも思うだろう。
『システムだけに頼っていては、勝てない』と言う事を。
 
 だけど、そんなに簡単に生み出せる訳ではない。あの世界の勇者、幾年月を費やして培ってきた《デジタルを視通す眼》を持っている彼でも、それは同じだった。だからこそ、共に修練を重ね続けたんだ。

 弛まぬ修練の成果が、顕著に現れるのは、現実世界でもあの世界でも同じ事だ。

 だが、現在。
 今、求められているのは、そういった類ではない。遠くから狙ってくる敵。姿をみせず、狙ってくる敵、なのだから。だが、あの世界でもそんな状況を切り抜けた事はあった。……それは、あの世界で感じた奇妙な感覚のおかげ、とも言えるだろう。…
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