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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第202話 忍び寄る影
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る、殺人鬼が
凶器
(
注射器
)
を手に、構えているか、と思うと、またそう考えると、動悸も止まらないだろう。
だが、シノンの肩には 背中には 恐怖を覆い隠してくれる、忘れさせてくれて、目の前の任務に集中する事が出来る
モノ
(
・・
)
が存在しているのだ。
彼の胸に埋めた頬に、そして 抱きしめた事で感じる事が出来た温もり。その1つ1つが自らの心に勇気を与えてくれるのだ。 過去の自分は、今日まで『他人は全て敵』だと考えていた。当時の自分あれば 多分考えもしない、思いもしない心境だろう。
だけど、彼は、彼らは《仲間》だ。
今までの様なスコードロンの仲間とは違う、真の仲間。背中を真に任せられる仲間。仲間が居れば恐れる物など何もない。
「(……そう、だからこそ、あの2人は……)」
シノンはある結論に達した。
会話の中で、所々見せる彼らの《笑み》。
確かに 今殺人の方法を、死銃の力の根幹を推測の段階だが突き止めた以上、彼らは命の心配はないだろう。だけど、それに気づいたのは ついさっきの事だ。 彼らは己の命も恐らくは 賭けていたのだと思える。
――そんな中で 何故、彼らは ああも笑みを見せる事が出来るのだろうか?
最早、シノンの中でそれは疑問ですら無くなっていた。当たり前の事だとすら思える程に。
信頼する人が傍にいるから。背中を守ってくれているから。
「………ふふっ」
シノンは、軽く笑みを見せると、再び《氷》となった。今までの氷とは少し違う仄かに温かみを持った氷。だけれど、集中力はこれまでの比ではない。
あの時、死銃に終われ、震え、そしてプライドの全てを打ち砕かれたあのバギー・カーの上での時がまるで夢、幻の様だ。へカートUは手に馴染み、まるで羽根の様に扱える。
極限まで集中させ どんな動きでも見逃さない様に。 信頼の答える為に、そして 自分の中の闇とも決着を付ける為にも。シノンはただただ 時が来るまで集中させるのだった。
キリトは、この場所まで 自分たちを運んでくれた三輪バギーの直ぐ傍で佇んでいた。
これは、リュウキとは勿論、自分も考えていた事だった。もう、殆どガソリンの残っていないバギー。キリト自身が乗り継いできたバギーとリュウキが乗ってきたバギー。その中で、ガソリンの消費をしていたのが、自分自身のモノだったから、リュウキのバギーを使わせてもらった。
当初は、それは思わしくなかった。最後のバギーの役割、それは掩蔽物、遮蔽物の代わりとして、使用するという事だ。キリトの北側に停車している為、北側方向からの狙撃は著しく困難だ。バギーのメカニックの隙間を通し、キリトの身体へと直撃させるなどは、恐らく不可能だろう。
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