遺跡出現までの10日間【3日目】 その8
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「う……グッ……クアアアアアアアアアアアア!?」
右手の甲の皮膚が裂け、大量の血が噴き出す。焼けるような痛みが頭の中を真っ赤に染め、目にジワリとつい雫が溢れ視界がぐにゃりと歪む。周りにいたエルフたちは関わりたくないのか僕たちからだいぶ距離を取って冷たい視線を投げてくるが全く気にしない。こんな痛みパンダの耳を生やした少女――――――ナナが味わってきた痛みに比べたら……全然大したことない!!!
「ご、ご主人様……何してるアルカ!?」
驚愕の表情を浮かべながらナナが駆け寄ってくる
「これで………いいかな……ナナ………」
顔から、いや体全体から嫌な汗が溢れ出詩ながら言った僕の言葉にナナは泣きそうな表情で言う。
「ご主人様は……ご主人様は大馬鹿アル!」
「ハハハ……」
泣きそうな声で叫んだ少女の罵倒に向けて僕は何も言えずただ力のない笑みをナナに向ける。するとナナは優しく微笑むと僕の真っ赤に染まった右手を両出て優しくつかんで胸の前に持ってくる。
「でも……そんなご主人様について行ってみたい、いやついて行きたいと思ったアタシは―――――――」
ナナが目尻に涙を浮かべて僕の目を見つめながらニッコリとはにかんだ笑みを浮かべ先程までとは比べ物にならないぐらい明るく可愛らしく優しい声で言う。
「もっと……大馬鹿アルネ」
この少女の笑みを、ナナの笑みを僕は一生忘れない。
☆ ☆ ☆
「ハア……ハア……ハアハア……」
荒い息を吐きながら城下町の西門を出たところにある森のあれた獣道を必死に走りながら鉄の鎧を纏ったエルフの兵士は『何か』から逃げていた。筋肉質な体系の兵士の表情には全く余裕はなくその表情には畏怖が張り付いている。高い木から落ちてくる虫や途中にある蜘蛛の巣なども全く気に求めない。
(ヤベェヤベェヤベェヤベェ!)
よく見ると兵士の防具には大量の血がべったりとついていた。右手には折れた槍を持ち、左手にはしっかりとその兵士のものではない左手が握られている。
(こ、ここまでくれば大丈夫か……ちくしょう、目撃証言では群れで行動はしてなかっただろ……なんであいつらの群れがこんなところに……早く報告しなけれ―――――――――――)
グチャ
突然高い木から降ってきた巨大な『何か』に兵士は潰される。
ドスン
ドスン
ドスン
ドスン
……
赤い夕日に照らされながら巨大な『何か』が次々と木の上から落ちてきた。体長は3メートルから4メートルほどだろうか全員が太い棍棒のようなもので武装しており体に刻まれた無数の傷跡が夕日に照らされる。
「グオオオオ
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