遺跡出現までの10日間【3日目】 その8
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いたのは奴隷番のせいだったのか……。僕は少女がアルヨ口調を訂正した理由に心を沈ませているとパンダの耳を生やした少女は一度言葉を止め、うつむいて呼吸を整えた。
そしてパンダの耳を生やした少女はその大きな黒い瞳に涙をいっぱい浮かべて泣きそうな表情で僕を見上げた。
「ご主人様は……ご主人様は……一体アタシに何をするつもりアルカ………? こんな立派な服を着せて、あんなに美味しい物を食べさして……一体どんな酷い事をするつもりアルカ……………」
「………」
僕はパンダの耳を生やした少女のくぐもった言葉に戸惑ってしまい声が出ない。この子は……どれだけ過酷な人生を生きてきたんだろう。ずっと……、ずっと酷い目にあってきて―――――――――
「よし決めた!」
「ファッ!?」
僕はありったけの力を込めてパンダの耳を生やした少女を少し赤みがかかった空に向けて高く高く放り投げた。少女は驚いた顔をして自分の身に何が起きたのかがわからず目を白黒させる。
「君の――――――名前は――――――ナナ! いいね――――――ナナだ! それと君は――――――僕の奴隷―――――なんかじゃない!! 」
パンダの耳を生やした少女――――――――ナナを空へ投げ落ちてきたところをキャッチして……という動作を繰り返しながら僕は言葉を続ける。
「僕の……僕の大切な仲間だ!!!」
最後に思いっきり、ありったけの力を込めて高く高く放り投げたナナをしっかりとキャッチする。
「ナ、ナナ…………?」
訳が分からないという表情で少女は僕を見上げる。その瞳には只々困惑が写っていた。
「そうだ、ナナ。77番だからナナ……、いや……まてよ……ななじゅうなな……セブンティーンセブン……?? ええいどうでもいい! 今日から君は僕の大切な仲間、ナナだ!」
「なか……ま……?」
ナナは信じられないという表情と仲間という言葉がうまく呑み込めない表情をする。
そうか、口先だけじゃ信用してもらえないよな………。そうだ――――――――
「こんなもの―――――――」
「!?」
意識すると赤色の光を帯びた奴隷紋が右手の甲に出現する。その途端、奴隷紋を見た少女の方がビクリと震えた。その愛らしい顔を恐怖に染め畏怖を帯びた黒い瞳で僕の奴隷紋を見つめる。よっぽどこの紋章が怖いんだな……。ようし!!!
「こうだあああああああああああ!!!」
「ッ!?」
抱きかかえていた少女を下ろすと僕はありったけの力を左手に込め――――――――――――――――――
僕の皮膚から赤い光を放って出現している魔方陣を僕強く爪で何度も何度も何度も何度も何度も強くひっかき右手にあったその存在を消し去った。
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