九十三 再会
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、君麻呂が左肩から抜き、刀として用いていた骨。
その硬さからただの骨ではないと、序盤の段階でネジは察していた。
鋼の如き硬度を誇る骨は、感触からしておそらく最高密度。
「骨は人の体に二百個余りあるが、僕にとっては一定した数ではない。骨芽細胞や破骨細胞を自在に操り、カルシウム濃度さえもコントロールし、骨を形成する…それが僕の血継限界」
わざわざ己の能力を補足説明する君麻呂に、ネジは胡乱な視線を遣った。まるで自分の思考を読まれたような錯覚に陥り、思わず皮肉を漏らす。
「自ら能力を露見するとは…よほど自分の力に自信があるらしい」
「先ほども言ったが、こちらが君の力を知っているのに、君が僕の能力を知らないのはフェアじゃないからね」
以前中忍試験に参加し、ネジとヒナタの試合を観戦した事のある君麻呂は「それに、」と付け加えた。
「一度披露した技がそう簡単に通用するとでも?」
それはつまり、中忍予選試合でネジが使った術は君麻呂には通じないという事。
穏やかな口調とは裏腹に高圧的な態度の君麻呂に対し、ネジは静かに呼吸を整えた。
嘆息一つついたかと思えば、冷徹な眼差しで君麻呂を見据える。
「ならば、柔拳の怖ろしさ。その骨にしっかと刻み込め」
白き双眸に宿る、毅然とした闘志。
心に深く刻みつけ記憶しろ、と告げるネジを、君麻呂は無表情に見つめる。
しかしながらその表情の裏には、どこか心待ちにしている節があった。
(――――期待外れで終わらせてくれるなよ)
両者の間に流れるのは、草叢がさざめく音と微かな水音。
そしてそれぞれの不屈の信念、ただ、それだけだった。
「世の中そうそう定石通りにいかねぇなァ…」
思わず呟いた独り言。自身が思い描いた形とは全く違った展開に嘆くシカマルに、彼は悠然と微笑んでみせた。
「忍びの世界において不変の真理など、在りはしないよ」
言いたい事を推し量っておきながらの見え透いた回答。
穏やかに微笑み続けるナルトをシカマルは苦々しげに見据えた。悠長な答えを返すナルトに苛立ちを覚える。
ましてや、シカマルの思考を正確に把握している上での、この応え。ますます、不愉快だ。
だが、そんな思いなどおくびにも出さず、シカマルは慎重にナルトの動向を凝視する。
何故ならば、多由也一人でさえも手強いのに、眼前の相手の強さは計り知れないからだ。加えて、彼ほど本心が読めない人間はいない。
勝てるなどとは毛頭思っていない。むしろ生きてこの場を切り抜けられるかが、シカマルの目下の問題であった。
「ナルト、どうしてお前が…?」
ようやく落ち着きを取り戻した多由也がおずおず訊ねる
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