一話:正義の味方
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その時に危うくロリコンの犯罪者に間違えられかけたのは切嗣にとっては一生癒えぬ傷になることだろう。
――正義で世界は救えない――
世界に争いは絶えない。そこに人間がいる限り戦いは無くならない。
次元を超えたところで、世界が変わったところで、流血は止まらない。
男は知った。人間の在りようが変わらないのであれば戦いは避けられない。
最後には必要悪としての殺し合いが要求されると。
ならば最大の効率で、最少の浪費で、最短の時間で。
処理を行うのが最善の方法だと悟った。
我が行いを卑劣と蔑むがいい。悪辣と語るがいい。この在り方を呪うがいい。
それで―――世界を救えるのなら喜んで受け入れよう。
例え誰からも認められることがなくとも構わない。
例え無限に続く地獄に落ちるのだとしても構わない。
例えこの身にこの世全ての悪を背負うことになったとしても構わない。
例え―――愛する者をこの手で殺すことになるとしても構わない。
――それでより多くの犠牲を減らせるのなら――
「はぁー、おとんのせいで疲れたわー」
「これも父さんのせいなのかい?」
「そや、スーパー行ったときも思い出して食欲が……」
「じゃあ、今日はハンバーガーでも―――」
「それはアカン」
家にたどり着き車椅子から降ろしてもらい疲れたようにソファに横になるはやて。
それをチャンスだと思ったのか切嗣はジャンクフードを提案するがバッサリと切り捨てられガックリと肩を落とす。
その姿を哀れに思い今度食べさせてあげよう、と思う事などなくはやては今日の予定を考えていく。
「ご飯食べてお風呂入ってそれから前借りた本一気に読もうかなぁ」
「本を読むのは構わないけど余り夜更かししないようにね」
「あら、声に出しとった?」
「うん、最初から最後までね」
微笑みながら注意する切嗣に失敗したとばかりに舌を出すはやて。
この手のやり取りがなされた時は大抵切嗣ははやてと一緒に寝る。
夜更かしをしないように見張るという名目であるがはやてにとっては寂しい時などに悟られずに一緒に寝られるので時々利用させてもらっている。
大人びているが何だかんだ言ってまだ子供なのだ。
「そういや、おとんタンスに服入れといた?」
「うん、入れておいたよ」
「……なぁ、手伝ってくれるのは嬉しいんやけどもうちょい綺麗に入れれんか? なんで既に入ってた服が飛び出てくんねん」
「……手先は器用だけどなぜか昔から整理は苦手でね」
散らかしたことを責められてシュンとするその姿はどちらが子どもか分からない。
家事を手伝うと偶にこういった事態が起きるので基本的に
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