幕間 ガンダールヴ
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だってよ!』
それに追随する他の少年少女たち。
そして、その声を聞いたコルベールは、血相を変えて叫ぶ。
「決闘など、今すぐ止めさせましょう!」
「いや、待つのじゃ。……少し、様子を見ようではないか」
「何を悠長なことを!このままでは、彼が死んでしまう!」
「……その記述と、君のスケッチが正しいのならば、そんなことは起こり得まい……じゃろう?」
「し、しかし……」
なおも言いつのろうとするコルベールだったが、無慈悲にも決闘の火蓋は落とされ――――そして、目を疑った。
白髪に黒色の肌を持つ平民が、素手でゴーレムを圧倒していたのである。
そして、決闘は終盤にさしかかる。
そこで、その平民が、瓦礫の中から剣を拾う。
刹那。
――――ズゥウン?
轟音が鳴り響き、一瞬棟全体が震動する。
コルベールは机に寄りかかり、オスマンは鏡を倒さぬように支えた。
そして、目を開けると、そこには『固定化』によって強化されたはずの壁に、大穴が空き、庭にはクレーターが出来ていた。
すわ敵襲か、と身構えたが、そこに外敵の姿はなく、代わりに、優雅に貴族の下へ歩み寄る平民の姿があった。
そして彼は、貴族の少年の頭を掴み、片手で持ち上げる。
その数瞬後、貴族の少年は負けを認め、地に落ちた。
それを観ていた二人は、憔悴しきった表情で、顔を見合わせる。
「オールド・オスマン……伝説の使い魔『ガンダールヴ』は、どんな武器でも使いこなし、千の敵を退かせたと言われています。相手が、最下級のドットのメイジであったとはいえ、これは……」
「始祖ブリミルは、呪文の詠唱が長かった。その魔法の強力さゆえにな。であるから、その無力な時間を補うため、ガンダールヴという使い魔を用いた。ああ。その通りじゃが……これでは……」
――――――時間を補うどころか、一人で軍隊と張り合えるではないか。
二人は、全く同じ感想を抱き、そして同時に戦慄した。
「この件、私が預かる……よもや異論はないな?」
「ええ、勿論ですとも……」
ここまでの大事、王室に報告し、指示を仰ぐのが筋だ。
だがしかし、単体で軍隊と張り合えるような使い魔を、軍に渡せばどうなるかは、明白だった。
「彼は、ただの平民だったのかね……?」
まるで、祈るようにオスマンはコルベールに問いかける。
だが、
「残念ながら、彼は平民です」
「その身から、剣を生やしたというのにか?」
「ええ、念のため、というか最初に『ディテクト・マジック』でメイジではないことを確認しました」
「……彼を『ガンダールヴ』にした生徒……ミス・ヴァリエールと言ったかの?
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