2部分:第二章
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第二章
「獣に食われたのか」
「まさかと思うが」
「いや、ここは町だぞ」
「ハノーヴァーだぞ」
普通獣は町にはいない。森にいるものだ。だからこの予測はだ。
すぐに否定された。有り得なかった。となるとだ。
次はだ。異形の者達の存在が噂されだした。
「狼男か」
「悪魔か」
「吸血鬼か」
そうした存在ではないかと言われだした。
「まさかと思うがな」
「ジェヴォダンの野獣が出て来たのか?」
「この国にもまた」
「出て来たのか」
かつてフランスのジェヴォダンで暴れ多くの者を殺した謎の獣だ。巨大な狼だとも狼人だとも若しくは殺人鬼が正体だったとも言われている。
その謎の獣がだ。ハノーヴァーに出て来たのではないかというのだ。
「野獣がドイツにも出て来たのか」
「あの野獣が生きていたのか?」
「まさか、あの野獣は死んだぞ」
「ルイ十五世の時に」
流石に今生きているとは考えられなかった。異形の存在にしてもだ。しかもその野獣は殺された筈なのだ。それではだった。
謎は深まった。では誰がだ。この白骨になったものに付いていた肉を食ったのか。何しろその骨に残った肉にはだ。食われた跡がったのだ。
食った者が何者か、人々はさらにだった。
考えてはならない考えを巡らせ。そして。
答えが出た。一つの答えが。
「人間か?」
「まさか。それはないだろ」
「人間が人間を食うなんて」
「そんな筈がない」
「幾ら何でもな」
「そんなことは」
この考えだけはだ。誰もがすぐに否定した。そしてそれと共に一刻も早く忘れようとした。しかしそれでもだった。その考えは。
脳裏にこびりつき離れない。どうしてもだ。それでだ。
あらためてだ。骨について調べられた、すると。
警察はだ。ここで一つ重要なことに気付いたのだった。それは。
「全部男だな」
「ああ、少年か男娼のものだ」
「どれも目鼻立ちが整っている」
「行方不明を届けられていた子もいるな」
「?この子は」
そのだ。白骨になった少年の中にだ。
ある少年のことがだ。彼等の目に止まったのだった。その少年は。
「ハールマン氏と一緒にいた少年じゃないのか?」
「ああ、ハールマン刑事か」
「あの肉屋の」
ハールマン刑事というのは仇名である。実はだ。
彼は警察の協力者だったのだ。事件の情報提供を積極的に行っていたのだ。肉屋であり商才のある彼は闇市の顔役だったのだ。
警察に協力し事件の解決に協力するのでだ。刑事と呼ばれていたのだ。しかしだ。
彼はだ。警察からも不審に思われている点があった。それは。
「前科があるしな」
「ああ、少年を強姦して捕まってな」
「精神鑑定でもおかしいと言われてたな」
「前科も二つ位あったな」
「どれも少
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