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ホウエン地方LOVEな俺がゲームの中に吸い込まれちゃった
昔と今
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。ミシロタウンに同じ年頃の男がいなかったのもあるが……それでなくとも二人きりで過ごすことが多かったのだ。ユウキにハルカが惚れ込むのも時間の問題だった。
 しかし……
 時を置かずしてポケモントレーナーになる時が来た。
 以前からポケモンが大好きでトレーナーに憧れを抱いていたユウキはもちろん、ハルカもあまり深く考えずにトレーナーになろうとしていた。
 この世界で言う『ポケモントレーナー』とは同時に、子供が自立するのに通る関門でもある。それをハルカは失念していたのだ。
 ーー旅に出てもユウキと一緒。
 そんなことをハルカは自分の中で無意識に思っていた。
 だが、ポケモントレーナーになるということは《自立》する……つまり、

 一人で旅をするということなのだ。

 今では旅の危険性等も考慮して二人旅……とすることも多い。しかしユウキの父が頑固者のジムリーダーで昔からの風習に乗っ取ったやり方を突き通した結果、二人は別々に旅をすることになってしまった。


 ハルカも初めは自分の感情に気づくことはなかった。だが旅を始めて五日目の夜、ユウキとも家族とも離れて生活することが急に不安になってしまったハルカはトウカの森の自分用のテントの外で泣いていた。
 ーー不安、孤独。
 そういった感情に押しつぶされ耐えきれなくなった。年頃の女子に我慢しろというのも酷な話だが、夕方頃に野宿の用意をしてから今に至るまでずっと泣きじゃくっていたハルカの身体は冷えきってしまっていた。
 そんな時だ。偶然ユウキが通りかかったのだ。

 ーー泣いてるのか?
 ーーううっ……ユウキ?
 ーーそうだユウキだ。大丈夫か?
 ーーぐすっ……ユウキぃ……

 突然の出来事で整理がつかなかったというのもあるが、ハルカは泣き顔を隠すこともせずユウキに抱きついた。
 優しく髪を撫でたユウキはハルカの身体が冷えていることに気づき、温かいスープを拵え飲ませる。温かさが胸に染みてようやくハルカの孤独感が和らいだ。

 ーー落ち着いたか?
 ーーうん……でも……
 ーーああ、今日くらい一緒にいてやるよ。

 結局その日の夜は二人で同じテントの中、手を繋いで寝たのだった。

 ーーそこからだ。ハルカがユウキへの自分の気持ちに気づいたのは。




「あー、そんなこともあったっけなー」

 ベンチに座って昔を思い出しハルカは呟く。紛らわそうと思い出したことなのに余計にユウキへの想いが強くなってしまう。

「いけないなー私も。今回こそは……って何回も挑むけど告白出来なくて……それでいてアイツは鈍感だし」

 旅が一旦の終わりを迎えても状況は変わっていなかった。ユウキとハルカはライバルで親友。その位置から未だに抜け出すことが出来ていないのだ。
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