二十一話
[前書き]
[8]前話 [1]本文 [2]次話
糸繰り人形は元気に動きます。
手を振り動かし、地を蹴り、元気いっぱいに動きます。
口の端をあげ笑い、足を回し地を駆けます。
もう大丈夫だと。
自分は耐えられたと。
自分の意志で動いていると宣言するように走り口を開き手を振り光のない目で口だけで笑います。
その腕には糸があります。
その足には糸があります。
その口には糸があります。
その頭には糸があります。
至る所に糸がくくりつけられています。
糸が踊るのと同時に立ち上がり人形は踊ります。
楽しそうに嬉しそうに踊ります。自分の意志で立てたのだと嬉しがるように。
糸につり上がられ、とても楽しそうに口端が上がっています。
見えない糸に操られ、その糸に気づけないまま人形は自分で動けていると思い続けます。
だって、心が楽なんだ。考えなくていいから。
だって、動きが楽なんだ。無の声に従えばいいから。
自分で考えて動いているんだ考えて立ち直ったんだだってだって辛さが薄くなったんだ立ち上がるのが楽なんだ前を向けている皆見てくれる受け入れてくれる歩ける杖がある辛さを受け入れてくれた闇が薄まったんだ理解して肯定してくれたんだ間違ってないんだ約束したんだまた■■って相手になるって自分は成長したんだ成長したはずなんだ自分で思ったじゃないか答えを出したはずじゃないかなら自分で前に進めたじゃないかあの■に憧れに手を伸ばすって■■に追いつくって決めたんだだから立ち上がったじゃないか歩かなきゃいけないんだ答えなきゃ■いに答えなきゃなら■を握らなきゃ握れなきゃ■に意味なんてああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ―――――!!!
しばらく先に手がありました。
いずれ人形は気づけるか、気づけないかの堺。
握ってくるのを待っているようにそっと出された手。
きっと握ってくれると信じているような手。
引きずり込まれる。そう思いました。
引き上げられる。そう感じました。
だらんと出された一本の手。
何の支えもないのに確かにある手。
もしかしたら支えがいるのかもしれない。支え合う何かが要るのかもしれない。
糸を張り詰めれば指先が届く。引き込まれれば糸はもう届かないだろう。
掴めば確かに引き込まれると信じられてします。
そんな境に手が、確かにあるのです。
[8]前話 [1]本文 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ