二十一話
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―■k、s、■s、ッ―――い――
あの子供がいない。天上の席は残り一つ。追い立てられるように大会に出て勝利を飾った。
何が足りないのだと考え、子供と同じになれば分かるのではと賭け試合にも身を投じた。
気づけば表でも裏でも勝ちを重ね、裏では賭け試合のチャンプになった。
ある日賭け試合の運営側の男に言われた。
『お前さんはありがたい。勝ち続けても前の坊主とは違い「もしかしたら」ってたまに客に思わせる。これからも頼むよ』
憤りのままに一層体を鍛え技を磨いた。
そうして勝ちを重ね、大会でも優勝を重ねルッケンスでは二人目が出るのではと噂にまでなった。
『頑張れよ!』『もしかしたらいけるかもな』『夢を見させてくれや坊主』
届くかも知れない。そう思った。いつの間にか自分の力はそこまで上がっていたと。
「昔の大人」たちが希望の目で見てくれた。それが嬉しくて、弟弟子である青年の弟に手紙も送った。
だがそれを打ち壊すように、まるで何かに仕組まれたかのように子供は「外」から帰ってきた。
子供は幾多もの大会に出て優勝をもぎ取っていった。賭け試合にもまた出始めた。まだそんなことをするのか。そう思った。
そして子供の戦歴が積み上がる頃、図ったように天剣を決める大会が開かれることになった。
そして青年の口から出たまるで決定事項の様な言葉。とうとう最後まで保っていたものが折れた。
「ああ」「そうか」「そうなのか畜生」
鍛錬に捧げた年月は倍以上。だがそれを踏みにじる才。だから、最後の一線で堪えてきたものが溢れた。思ったのだ。
そこまで邪魔をするのか。ああ――こいつは消さなきゃならない。
―――わk、■nッ、s―――い――
昔撮った写真を出した。賭け試合に出て知った裏の情報から口の固い者を数人金で雇った。
時間を置き、子供本人にも直接写真をネタに脅した。
脅迫に屈し子供が負けたとしても雇った者たちが噂を流し潰す予定だった。
棄権などさせず、自分と戦わせたのはせめてもの矜持だったかもしれない。その力に一度はぶつかろうと。
問題はなかったはずだ。子供が「外」に出て行った間にも鍛え続けた自分は腕が格段に上がっていた。
実際に試合でぶつかり合い、これなら十二分に渡り合えると思った。
もしかしたら。そう思った。夢が見えた気がした。
―――わか、s、n――ッ、せ、い――――
そうして自分は鍛え続けた腕と足をいとも容易く切り落とされたのだ。
――わ、か、せん、せ――い――
思う。ああ、一体自分はどこで間違えたのだろうか。叶うなら、
――――若先生―――
どうか教えて下さ――――
思考を遮るように剄の塊がガハルド・バレー
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