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鋼殻のレギオス IFの物語
二十一話
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しれない。だがそれでも自分が青年の横に並べばこの少年はまた希望を持ってくれる。その思いで止まりかけていた自分をまた鍛える決心をした。何としてでもあの場所に立ってみせると。
 才などなくとも、自分たちでも掴めるのだと証明し見せたかった。

――――■■―■―――ッッ……

『頑張っているね。――そう言えばこんなことを知っているかい』

 ああ! そう言えばその頃だ。青年に言われた事がある。

『天剣授受者っていう存在はさ、まるで運命で決められているかのように成るべくして成るんだよ。歳なんて関係なく、生まれた時から決まっているんだ』

 気まぐれか、もしかしたら欠片ほどの優しさか。天剣になって以来いつも楽しそうに笑う青年にそう言われた。
 だがそんな事は知らないとひたすらに己の体を虐めた。度が過ぎたそれを諌める周りを押し切り修練に励んだ。
 そうしている内に自分は同世代の中でも最速で師範代になり、少年は学園都市に行った。
 師範代の中でも認められ秘奥とされた秘伝書の閲覧も許された。都市でも名うての武芸者になった。
 ああ、ここまで来たのだと。ここまで来れたのだと喜びに震えそう思った。

――そんな時だ。レイフォン・アルセイフと言う存在を知ったのは。

 ッ―――g、―――■k―ッ

 
 アルセイフという子供はまるで冗談のような存在だった。
 己の半分ほど、自分なら戦場に出られなかった頃だ。その子供は歳に合わぬほどの莫大な剄で青年と戦えた。
 否、渡り合えた。
 その話が信じられず鼻で笑うために今は顔も思い出せない相手に誘われ実際に見に行きもした。
 結果、話は本当だった。そして信じたくなかった。
 その時青年が放った、かつての日に自分が最初に目にした技。己が血の滲む様な思いで覚えた技。
 それを子供がその場で覚え使ったことを。

 一緒に見に来た仲間がはやし立てる声がどうでもよかった。見たことがないほど愉しそうな青年がいた。
 きっと気づかぬ内に、その時自分は何かが折れてしまったのだろう。

 現実から目を背けるように体を鍛えた。
 子供の素性が知りたくて調べ、賭け試合の関与を知った。”これ”に負けたのだと一層何かが折れ、逃げるように鍛える量を増やした。ただ漠然といつか使えるかもと賭け試合の写真も撮った。
 子供が大会を荒らしまわっていると知り会うのが嫌で参加をやめた。結局試合の映像を見てその夜は寝ずに道場に篭った。
 気がついたら子供の周りには青年だけでなく王家の人間もいた。
 ただただ、子供がかつての大会で認められていないこと事が、「天(せい)剣(ねん)」には至らぬのだという思いだけが己の救いだった。
 そんな日々を過ごしているうちにある日子供は「外」へと消えていった。

――
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