二十一話
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クラリーベル様。ちょっと痛……」
「ですから、早くやって下さい。ほんと基礎だけでいいので。何で手を止めてるんですか?」
「すみません……」
言い返すことができずレイフォンは頷くしか出来無い。
ふとアイシャが動きクラリーベルが持っているノートの動きを止める。
「これ、止めて。レイフォンが勉強できない」
「……まあ、それもそうですね」
アイシャを一瞥しクラリーベルはノートから手を離す。
リーリンが声を上げる。
「あの、ちょっといい?」
「何ですか?」
「ちょっと手を止めてたのは事情があって……」
家族の目のことなど、場所を変えようかと言っていたことをリーリンは話す。
それを聞いてクラリーベルは少し考えて口を開く。
「場所ですか。なら家に来ますか?」
「家って、ロンスマイアの家のこと?」
リーリンの言葉にクラリーベルが頷く。
「ええ。書斎とかありますし。いざとなれば王宮の図書館の一室を借りることも多分出来ます」
「いや、そこまでいかなくていいわよ」
そうですか? とクラリーベルは首をかしげる。
「バス使えば三十分程で行けますよ。陛下に言えばフリーパスとか貰えると思います。屋根の上走れば三分掛かりませんけど」
「いや、私までそれはちょっと」
「あ、領収書はユートノールで切るんで大丈夫です」
「いや、そっちじゃないしおかしいから」
一般人のリーリンが呆れた声を出す。
「それ、私も行っていい?」
アイシャが参加希望の意を示す。
「ああ、どうぞどうぞ。受験生どうし勉強でもしますかね」
「色々、読みたいものがある」
三人が話し合うのを見てレイフォンは思う。
あ、これ行くの決定してるな。と。
そして反対しても意味ないんだろうな。と。
まあ、反対する理由も特にない。聞かれたら頷いてついていこうとレイフォンは思う。
その予想を裏付けるかのようにクラリーベルがレイフォンを見る。
「あ、用意終わりました?」
聞いてすらくれなかった。
「ここが書斎です」
クラリーベルの案内で中に入る。
ロンスマイア家の書斎。幾多の書架が並べられた書庫の片隅の空間だ。簡易的ながら書庫の方と区切られたそこ自体にも書架がいくつか有り、ソファに椅子やデスクがいくつか置いてある。
他に誰もいないからもあるが本がある空間独特の時が止まったような枯れた静謐さがある。
余り読書が得意ではないレイフォンだが不思議と本を手に取りたくなる魅力を感じてしまう。
「一応今日が初ということで私の案内が要りましたが次からは自由に来て貰って結構です。他の者にも言っておきますので」
「ありがとうございます」
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