二十一話
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高いだろう。
「あるとしたら姉さん達の家をちょっと使わせてもらうとかどう?」
「迷惑かからないかな」
自分が行くことで院を出た家族が周囲から避難の目で見られるようなことがあれば嫌だ。
レイフォンの考え過ぎかもしれないが、それでもあの日からの事が払拭しきれず考えてしまう。
それに、今の自分の立場を思えば暫く院から身を離した方がいいとも思う。
養父は院の責任者の立場を降り道場へと移ることを考えているという。自分もここから離れたほうがいいかもしれない。
「なら、どうするのよ?」
リーリンの言葉に合わせたようにタイミングよくノックの音が響く。
「こんにちは。様子見に来ました」
扉を開けクラリーベルが部屋に入ってくる。そしてそれに続いてアイシャも中に入ってくる。
「そこで会ったから、一緒に来た」
アイシャがレイフォンたちに向かって言う。
「勉強進んでる? 余り時間ないよ」
「アイシャさんから聞きましたが酷いらしいですね。手止めなくていいですよ」
クラリーベルは机の上の教科書に手を伸ばし軽く目を通す。
「あー、この辺りですか。ですがまあ復習として重点的にやるなら他のところの方が……」
何も理解していないそのセリフに思わずリーリンが顔を背ける。
「……復習じゃ……ないのよクララ」
「はい?」
理解できていないクラリーベルに後ろからアイシャが告げる。
「そこ、まだ終わってないよ。今覚えてる途中だと思う」
「あーそういうことで……あ?」
思わずといったふうな声がクラリーベルの口から出る。
クラリーベルは顔を背け続けるレイフォンから手元のノートを取り上げ素早く目を通す。
そしてそれを丸めレイフォンの頬に押し付ける。グイグイと跡がついてめり込みそうなほど押し付ける。
「あの、真面目に勉強する気あります?」
「すみません!!」
レイフォンは謝る。
やる気はある。だがやりたいかと聞かれれば否と答えたい。そんな思いからか「やりたいです!」などと言えない結果だ。
ずっとやってこなかったんです。馬鹿なんです。ちょっと休んでいいですか?
脳裏に過ぎるそれらを言うわけにもいかない。
「あのですね、私たちは他都市に留学に行かなければいけないんですよ。そこ分かってます?」
「……はい」
グイグイ。
「それには少なくともこの教科書の範囲の基礎は覚えておかないと危ないんですよ。他都市だと下駄はかせるわけにもいきませんので」
「……はい」
グリグリ。
「立場的にも、余りお金を使わない特待で受かることが好ましいんですよね」
「……分かっております」
グリッグリッ。グググ……
「あの、
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