二十一話
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「かつて……」
デルクは何を言うべきか迷うように暫し口を閉ざし、言う。
「かつていた私の兄弟子は都市の外に出た。先代王が命じたサリンバン教導傭兵団。兄弟子はその一員であり、団員の多くはサイハーデンを使うという」
続きを待つように、レイフォンは耳を澄ませる。
「サイハーデンの者は、外に流れるように出来ているのかもしれん。留まった私は知らずの内に理を忘れていた」
「理?」
デルクが何を言っているのかレイフォンには理解できない。
「知らぬを知り、学ぶを学べ。行ってくるといい」
「……」
その言葉が何を意味するのかレイフォンには分からない。だがデルクはそれ以上何も言おうとしない。
だが少なくとも、確かな見送りの言葉を貰えた。それがレイフォンには嬉しい。
「……行ってきます」
その言葉を最後に家族二人に背を向ける。
レイフォンは共に行く二人のもとへ向かいバスに乗る。
「遅かったですね。何か話してたんですか?」
「見送りの言葉を」
クラリーベルに簡潔に答える。
席はクラリーベルの希望によりクラリーベルが窓側、一つ横がレイフォンでその一つ横がアイシャだ。
荷物を置き、暫くするとエンジンがかかりかすかに揺れる。
そして景色が変わっていく。
大地を進み揺れる車体の中、外を見ていたクラリーベルがふと振り返る。
「学園都市、そういえば何て名前でしたっけあそこ」
その問いにレイフォンは視線を横に向け答える。
確かに共に在るクラリーベルを見るように、その先にある大地の先の到達点を見据えるように。
「――――学園都市ツェルニです」
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