二十一話
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る。そして程度の差はあれレイフォンを擁護する側のリーリンたちも。
「あんな風に見られっぱなしじゃやりづらいわよね」
勉強している時は大体あの視線にさらされている。一日だけならいいがそれが積み重なれば現状を突きつけられる様で心に来るものがある。
「もう一人いれば気が紛れるんでしょうけど……アイシャはどこ行ったのよ。あの子も受けるんでしょ?」
呆れたようにリーリンが言う。
レイフォンとは別のもう一人の受験者を心配してのことだ。
「何でも探し物があるんだってさ」
レイフォンがアイシャから聞いたことを言う。
「探し物って……ハァ、そんなに大切なものなの?」
「僕は知らないよ。でも、もう少しで終わるって言ってたから大丈夫だと思う」
「そう。まあ、レイフォンとは違って勉強のこと余り心配いらないから大丈夫よね」
リーリンが言う。それにはレイフォンも同感である。
アイシャは学力が高い。暇があればよく本を読むし、教科書の類も読み自分から進んで学習をしている。
「この間見たら何か難しそうな本読んでたし、理解不能だったよ」
レイフォンからしたらあの学習意欲がどこから湧いてくるのか不思議だ。なにか駆り立てる理由でもあるのだろうか。
「頭良くっていいなあ。僕もそうだったらこんなに苦しまなくって済んだのに」
「レイフォンはそれ以前に勉強してないからよ。……それに私のが苦しいって言うならそっちに頼んだらいいじゃない」
リーリンがぶっきらぼうに言う。
そんなリーリンに戸惑いつつレイフォンは言う。
「それがさ、この間頼んでみたんだよ。簡単に点が取れるような方法ないかって」
「頼んだんだ……ふうん、そうなんだ」
「でさ、そしたら次の日小さい紙くれたんだ。なんだと思う?」
「……何よ」
その時を思い出すようにレイフォンは言う。
「カンニングペーパー。細かい字で要点が書いてあった。袖に入れる用とか消しゴムに仕込む用とかで数枚」
「……それは、その」
「何か、ちょっと悲しかったよ」
「多分、誤解しただけなのよそれは。あの子そういうところあるから。だからレイフォンがどうとかってわけじゃ……ね?」
確かに言い方で誤解されただけの気もする。
ズルでもしない限りお前には無理だ、と暗に宣言されたと思うよりはマシだ。もしそうだったら悲しすぎる。
「まあそんな話はともかく。どうする? 場所変えたほうがいい気もするけれど」
リーリンのその言葉にレイフォンは少し考える。
「図書館とか?」
「ダメよ。人目が多いとこは避けたほうがいいわ。移る意味がないもの」
身内の目が、大多数の他人の目に変わるだけだ。今より拒絶的な感情をぶつけられる可能性も
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