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鋼殻のレギオス IFの物語
二十一話
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ガハルドの吐いた白い息が空へと登っていく。直ぐに見えなくなったそれはまるで空に吸い込まれたようで妙におかしかった。 
 何となくだが無くしたものを取り戻せる気がした。

「きゃ!」
「……ッぁ!!」

 考え事をしていたせいだろう。ガハルドは右側から向かってきていた人物とぶつかる。痛んだ体が揺れる。
 その瞬間体を貫くような衝撃が全身に走る。内側から溢れそうになる何かを必死で押し留め激痛の悲鳴を何とか咬み殺す。
 こんな程度の衝撃さえ耐えられないのかとガハルドは自嘲する。
 突然の痛みに眉をひそめながらガハルドは尻餅を付いた相手を見る。
 枯茶色の綺麗な髪をした少女だ。フードをかぶり鼻までマフラーで隠しているからよくわからないがそれでも整った容姿をしている事が何となくわかる。髪と同じ色の瞳がガハルドを見ている。
 
「済まない。大丈夫か」
「大丈夫です」
 
 ガハルドは少女を立ち上がらせる為に手を伸ばし、出された手を掴み力を入れる。
 瞬間、再び手に鋭い痛みが走る。

「―――ッ」

 だが一瞬で消える。
 何だったのかと疑問に思うが、ガハルドは自分の体の現状を思い出し直ぐに忘れる。

「……よそ見をしていた。済まない。怪我はないか」
「平気です。私の方も悪かったので気にしないで下さい」

 体を叩きながら少女が言う。

「確かに急いでいるようだったな。何か用でもあるのか」
「探し物です。ずっと探していましたので」

 目の近くを指で掻きながら少女は言う。
 それを聞き、不躾だとは思いながらもついガハルドは言う。

「そうか。これも何かの縁だ。よければ手伝おうか? 何もすることがないんだ」

 言い方からしてどうしても見つけたいものだろう。何故だろう。困っているのなら手伝いたかった。
 
「いえ、いいです。大丈夫ですので」

 だが少女は首を振ってガハルドの申し出を断る。
 それも別にいいとガハルドは思う。あったばかりの相手だ。そう言われて少女も困るはずだ。
 よくよく思えば、こんな自分の体で何ができるのだとガハルドは自嘲する。
 そう思っていると、ふと、異変に気づく。
 目の近くを掻く少女の指の力が強くなっている。そこから血が流れ始めているのだ。
 そしてまるでそこが痒いかのように少女は閉じた右目を掻き毟る。

「ッ。余り掻かない方が良い。血が出ている」
「え? ああ、平気です」

 何が大丈夫なのかガハルドには分からない。
 それでも掻き毟り続ける少女の手を掴んで止める。そして気づく。

「傷、か?」

 右目に一本の傷が走っている。よく見れば右目の周辺の皮膚の色が少し違う。
 
「この傷は……」

 言いつつガハルドには分かる。汚染獣
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