遺跡出現までの10日間【3日目】 その2
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お腹を蹴られ、あっけなく吹っ飛ぶ。
「フッド!」
恐らく弟だと思われる名前を叫びながら白髪のエルフ君―――――フッド君にアカリちゃんが急いで駆け寄ろうとするが両腕を掴まれていてその場から動くことができない。ま、周りは何をやっているんだ……。僕は周りを見回すが皆見て見ぬふりをしている。こういうところは元居た世界と同じだな……。
「ちょっとまて」
「?」
アカリちゃんを助けようと前に出ようとすると武器屋のおじさんに腕をパシリと掴まれる。
「あいつら最近暴れまわってるギルドの奴らだ……俺の店も前にちょっかいをくらったことがある、それに見てみろ全員が武装してるぞ、あいつら腕は大したことないくせに装備だけは一人前の物を着てるんだ」
「それがなにか……?」
武器屋のおじさんの言葉に僕は頭をかしげることしかできない。
「なにかってあんた……相手は6人しかも全員武装している。それに比べてこっちは病み上がりのあんたと冒険者をとっくに引退した俺しかいない、しかも非武装って言うおまけつきだ」
「い、いやでも……」
確かに戦況は明らかに不利だ。
「さあ付き合ってもらうぜお嬢ちゃん!」
「キャアッ!?」
顔にピアスを付けた頭に剃り込みのあるエルフがアカリちゃんを抱きかかえようとするがアカリちゃんは体を必死にばたばたさせ剃り込みエルフの手から逃れようとする。
「おとなしくしろよ!」
「ウグッ!?」
先ほど白髪のエルフ君を蹴り飛ばした赤髪のエルフがボディーに思いっきりパンチを入れたのでアカリちゃんの体がくの字に折れ曲がった。その瞬間、僕の中の何かが切れた。
「おじさん……こっちは非武装って言いましたよね」
「あ、あぁ……」
僕の言葉におじさんは何故か後ずさりながら答える。
「武器はあリますヨ」
武器屋のおじさんが手を放したので僕はゆったりとした動作でエルフたちに近づく。両手をきつく固く握りしめる。そしてゆっくりと空気を肺に取り込んだ。
「ここに立派ナ拳ガネ」
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