第5話 遺跡出現までの10日間【3日目】 その1
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「ケントさんの瞳は私が今まであってきた人の中で2番目に悲しい瞳の色をしています……どうか無理をなさらずに……」
それだけ言うとアカリちゃんはパタパタと足音を立てて奥の方へ走って行った。2番目……か……1番は誰なんだろ……ま、いっか。
「ふぅ……」
木で作られた古い階段を降りると出入り口の近くにある井戸で顔を洗う。ほんの少しだが頭の中がクリアになるのを感じる。
食堂に行くといつも通り白髪のエルフ君にお金を渡しバイキング制の朝食を取った。
「な、なんか雰囲気変わりましたね……」
「ん?」
白髪のエルフ君がお金を受け取る時に僕にオドオドした表情で言ってくる。
「クールになったというかなんというか……」
「ハハハ、ありがと」
白髪のエルフ君の言葉に軽く答えると僕は自室に戻る。血で染まった防具を纏い『セリムの宿』を出る。目立ちたくはないので念のため体にはマントを羽織った。
「いらっしゃい……ってあんたか……どうしたんだその恰好……」
武器屋のおじさんのところに行くと珍しく外で店番をしていたらしい武器屋のおじさんが僕の姿を見て目を丸くする。
「ちょっと色々あって……この有様ですよ……」
「まあここじゃなんだから中へ入れ」
武器屋のおじさんはあたりをきょろきょろと見回すと僕を店の中へ入れてくれる。
「まさかあんた昨日遺跡に行ったのか……?」
「はい……」
「そうか…………」
武器屋のおじさんは僕に何も聞かずに肩をポンとたたく。
「これに着替えろ」
「!?」
突然、服をポンと手渡される。
「え……!?」
咄嗟のことにどう反応していいかわからない。武器屋の親父さんはそんな僕を見ると優しげな表情を見せる。
「あんた無理しすぎだ、表情でわかる。ちょっくら気晴らしにでもいこう。いい場所がある」
「は、はぁ……」
こうして僕と武器屋のおじさんの王都巡りが始まった。
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